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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

きみが死んだあとで

映画の冒頭、画面に向かって、橋の上で学生服姿の男が遺影を掲げて立っている。学生服姿の男は、代島治彦監督。遺影は、67年10月、この橋の上、羽田の弁天橋で機動隊に殺された当時18歳の山崎博昭。寺山修司監督の劇映画を思わせるオープニングは、監督の決意表明であり、約半世紀前にタイムスリップを誘う入口なのだろう。上、下巻合わせて3時間20分もの大長編に描かれているのは、山崎博昭の高校の同級生たちや、当時の運動の中心だった人々、生き残った総勢14人の、時代を語り継ごうとする貴重な証言だ。佐藤栄作内閣総理大臣の南ベトナム訪問阻止を図った「三派系全学連」を主体とする第一次羽田闘争の中で、人々は、そして山崎博昭は、何を思い、何を訴えようとしたのか。圧倒的な記憶の渦は、時代を、そして時間を忘れさせまだまだ観ていたいという衝動にかられる。

21/4/11(日)

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