今年の2月28日に発表された第78回ゴールデングローブ賞で、助演女優賞を受賞したのも当然というか、『モーリタニアン　黒塗りの記録』を観て、僕は主演女優賞じゃないのと言いたくなった。そのくらいナンシー・ホランダーという弁護士を演じるジョディ・フォスターが素晴らしい。無実の罪でグアンタナモ米軍基地に投獄されていたモーリタニア人のモハメドゥ（演じるのはタハール・ラヒム。この人がまたうまい）を弁護して闘い、アメリカの闇と人権問題が浮き彫りにされていく社会派ドラマだが、黒く塗りつぶされた衝撃の手記を軸にすえて見事なエンタテインメント作品に仕上げた監督ケヴィン・マクドナルドにも拍手を贈りたい。英語とアラビア語とフランス語が飛び交うリアルな展開。ハリウッドではなく、イギリスで作られたということに妙に納得させられる。

21/10/25(月)