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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

Fukushima 50(フクシマフィフティ)

これは、もう「戦争映画」だ。 福島第一原発を戦場として描き、吉田所長以下の職員たちを兵士として英雄的に描く。 娯楽映画として、よくできている。原発のプラント内の再現度が高い。といって、私自身が実際の原発を見ているわけではないので、どこまで再現されているかは確証できないが、リアルに感じた。 凄まじい事故だということ、原発内部の構造がよく分かる。そして、現場の職員たちの危機感もよく伝わってきた。よくぞ、日本は無事だったと思う。 倒すべき相手は、侵略してきた国でもテロ国家でもない。暴走している原発だ。だが、原発の職員たちは原発を愛しており、傷ついて苦しんでいるのをどうにかしてやりたいという感情を抱いている。だから、真の敵ではない。 この映画での悪役は、自分は安全なところにいて無理なことばかり言う東電本店の役員たちであり、わかりもしないのに口を出してくる首相官邸だが、「敵」ではない。 原発の恐ろしさを伝えてくれる映画だ。ただ、「総理」の描き方には事実と異なる点もあり、違和感がある。

20/3/6(金)

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