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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

ディリリとパリの時間旅行

『キリクと魔女』で知られるアニメ映画監督ミッシェル・オスロの新作は、1900年に5回目のパリ万博が開かれたベルエポック時代が舞台。ニューカレドニアからフランスに船でこっそり入国し、伯爵夫人に拾われた少女ディリリの、パリをめぐる冒険物語だ。 観光客よりもう少しディープな体験をする彼女と周るパリは、楽しく美しくスリリング、かつ文化的で魅了される。ピカソ、プルースト、ロダン、コレット、ポール・ポワレ、キュリー夫人など、この時代の著名人が続々顔を出すので、“セレブ探し”の点でも面白い。 だがそこはオスロ監督。楽しいだけではなく、人種差別や女性蔑視など、現代にも通じるこの時代の社会問題を巧みに物語に取り込んでいる。映像の魅力もさることながら、そのストーリーテリングの才にもほれぼれ。

19/8/20(火)

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