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水先案内人のおすすめ

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ギャラリーなどの小さいけれども豊かな展覧会・イベントを紹介します

白坂 由里

アートライター

「約束の凝集」 vol. 3 黑田菜月「写真が始まる」

毎年1年にわたり、1人のキュレーターがひとつのテーマで複数のアーティストを紹介していくαMプロジェクト。コロナ禍で鑑賞の機会が制限され、ほんとうに見たいアートとは何かを考えさせられる2020〜2021年、長谷川新が「約束の凝集」(英語タイトルはHalfway Happy)というテーマでキュレーションするシリーズの3人目は写真家の黑田菜月だ。 会場では毎時00分と30分に、写真についての2つの映像作品が交互に上映される。壁に掛かっている写真を劇場のロビーさながらに観る。『友だちの写真』は、動物園で小学生が2つのチームに分かれ、「撮影班」は写真を言葉で描写した手紙を送り、「推理班」はその撮影された動物を推理して写真を撮って返信するというワークショップのドキュメントのような映像作品になっている。2つのチームは会えないので、撮影者(まだ見ぬ友だち)を想像してワクワクしている子どももいる。 もうひとつの『部屋の写真』は、介護者が、かつて介護していた人の部屋の写真を見て、記憶を語り出す映像作品。キッチンにお惣菜パックが置いてあるだけの写真の奥にも、お年寄りの生活が見えてくる。 (会えない人への)恋や友情や愛の始まりは、同じものを見ていても同じようには見えていない「ずれ」を補ってあまりある。よく見ることと見えないものを察することがケアかもしれないな、とか、いろいろな感想が湧き上がり、ああそれって「写真」のことかもなあと思う。写真がなぜ発明されたのか。斜に構えることもうつむくこともなく、朗らかに立ち返ることができる。 ※開廊日時の変更や臨時休廊の可能性あり。gallery αMのWebページで最新情報をご確認ください。

21/4/30(金)

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