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山内宏泰
ライター
ジュリアン・オピー
19/7/10(水)~19/9/23(月)
東京オペラシティ アートギャラリー
明るくポップで快い。その場に身を置くだけで気分が高揚する展示はいいものだ。現代英国を代表するアーティスト、ジュリアン・オピーの大規模個展が、東京オペラシティアートギャラリーで開催中なのである。 ジュリアン・オピーの人物画や風景画は、ごく単純でわずかな線と色面によってできている。よくこんな少ない要素で何かを表せるものだと感心してしまう。これぞデフォルメの極致。日本の観衆は、デフォルメ技術が作画の肝となっている漫画やアニメに慣れ親しんでいるから、オピーの表現に感応しやすい面はありそうだ。 わずかな線と色だけで、感情の機微や場の雰囲気をみごとに描き分けてしまうオピー作品を浴びるように観ていくと、そういえば私たちだって日ごろから、人や場に対する好き嫌いなんて、ごく些細なことを基準に選り分けているものだよなと気づかされて、ちょっとだけうしろめたい気分に襲われるのだった。
19/7/25(木)