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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

さらば愛しきアウトロー

「ロバート・レッドフォード俳優引退作」と言われると、やはり感慨深い。劇中で彼が刑務所から脱獄するシーンでは『逃亡地帯』(66年)の脱獄シーンが引用されているが、やっぱり若いなあ。まあ、今年で83歳になるのだから無理もないが、この映画のレッドフォードは、まるで特殊メイクでもしているかのような老けっぷりで、それだけ、こちらに若き日の印象が強烈に刻み込まれているのだろう。彼がこの引退作で選んだ役柄は、実在した銀行強盗フォレスト・タッカー。20年代に生まれ、75年もの間、強盗、逮捕、脱獄を繰り返しながら、誰ひとり傷つけず、被害者のはずの銀行からも、「紳士で礼儀正しかった」と証言されている人物だ。レッドフォードは、そんな彼を余裕綽綽で演じ、ラストでは、どうしても強盗をやめられないアウトローの業を見せ、俳優としても引退の花道を飾ることに成功した。

19/7/8(月)

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