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水先案内人のおすすめ

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一瞬がすべてを救う映画、だれも断罪しない映画を信じています

相田 冬二

ライター、ノベライザー

新感染半島 ファイナル・ステージ

破格のエンタテインメントとして、多くの観客を熱狂させた『新感染 ファイナル・エクスプレス』。 いま、わたしたちは、コロナという名の“ファイナル・エクスプレス”に乗車していると言っても過言ではないが、全世界怒濤の2020年が終わると同時に、日本ではその続編『新感染半島 ファイナル・ステージ』が公開される事実をはたして、偶然の一言で済ませてよいものかどうか。 『鬼滅の刃 無限列車編』が、コロナ以後の日本人の心を捉えて離さなかったことと同様に、ここでも奇異にして稀有な時代に“選ばれてしまった”映画の必然性がみなぎっており、そのことに何よりも圧倒される。 ゾンビ半島と化した場所で、一攫千金を目論む人々が描かれるが、その物語が“傷ついた者たちの起死回生”そのものだと気づくとき、わたしたちは大いなるエールを受け取るだろう。 正統なPART2だが、前作とは味わいがかなり異なる。 当然だ。 コロナ以後、“かつての世界”が戻ってくることは二度とない。 わたしたちは“これからの世界”を生きていくしかないのである。 映画も、人間も、更新=行進するより他に道はない。 ポスト黙示録の地上で、絶望に倒されずにサバイブするということ。 終盤に訪れるエモーションの彼方に、人類がそれでも前を向く契機が示される。 さあ、はじめよう。 堂々と、2021年を。

21/1/13(水)

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