まず、本作の企画とプロデュースを務め、出演もしている松林うらら。自身がプロデュースを務め、主演も兼ねるという日本ではともすると批判を受けかねない試みに若くして取り組んだ彼女の心意気には拍手を送りたい。 女性であり女優であることで周囲から求められることへの違和感が綴られている中川龍太郎監督の『蒲田哀歌』、伊藤沙莉、和田光沙、福田麻由子ら確かな演技力をもつ女優たちの濃密なコラボレーションを見ることができる穐山芙由監督の『呑川ラプソディ』、日本社会に厳然としてあるパワハラ、セクハラ問題を映画界から問題提起する安川有果監督の『行き止まりの人々』、東京中心主義を痛烈に皮肉る渡辺紘文監督の『シーラカンスどこへ行く』と、単作としても見応えありの作品はいずれも個性が際立つ。

20/9/27(日)