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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

歌舞伎座八月花形歌舞伎

8月の歌舞伎座第三部の「追い出し」は清元の舞踊『三社祭』だ。江戸で最も大きな年中行事、それが浅草の三社権現のお祭りと言われた。『弥生の花浅草祭』の四段の構成のうちの一幕がこの『三社祭』として独立した。宮戸川(隅田川の下流)で二人の漁師の網にかかった観音像を祀った浅草神社の縁起に、山東京伝の善玉悪玉が乗り移る漁師たちの物語が取り込まれている。 二人の漁師が宮戸川で漁をしているところへ空から善悪二つの玉が下りてくる。その玉に魅入られ、善玉と悪玉となって二人は踊り出す。悪玉は悪七兵衛に悪禅師など悪尽くし、善玉が三味線を弾く振りをし、悪玉が善玉を誘惑するクドキ、二人で手拭の踊り、玉尽くし、見世物の曲芸を思わせる振りと続いていく。 曲が軽快でテンポ良く、二人の息のあった踊りや、善悪の対照的な振りなど息つく暇もない。毬のように弾む二人を見ているとこちらもついつい踊り出したくなる。 踊るのは市川染五郎と市川團子の今注目の二人。初役だ。先に会見では染五郎の父・松本幸四郎がこう語っていた。 「『三社祭』は、今(市川)團子君と二人で絶賛稽古中ですが、團子君は股引を破いてしまうし、染五郎は扇子を破くしと、まだ自分との闘いをしている状態ですね。とにかく稽古して稽古して成果を出してほしい。実は僕がやりたいんですけどね(笑)」と。 その悪戦苦闘の成果が見られるだろう。若い二人、踊りこんで踊りこんで、ぜひとも名コンビになってほしい。

21/7/22(木)

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