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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

国立劇場 令和3年10月歌舞伎公演『通し狂言 伊勢音頭恋寝刃』

『伊勢音頭恋寝刃』は、江戸でも京でも大坂でもない、伊勢国が舞台の芝居。主人公の福岡貢はかつては侍だったが、今は伊勢神宮の御師(おんし)であり、かといって町人でもないという立場。寺社で栄える町の御師といえば、参詣者の参拝や宿泊を世話するというのがもっぱらの仕事だった。ツアーコンダクターのような仕事だったともいわれ、伊勢神宮の御師は中でも最大の規模を誇ったとされる。中には祈祷や神官としての役割を果たした者も。ある種、町衆のリーダーと言えるかもしれない。町をよく知り、人を知り、腕も立つ。だからこそ貢は、阿波家の家老の息子・今田万次郎の難を助けるよう、伊勢の神領を差配する御師の長官である藤浪左膳から公式に依頼されたのだろう。貢たちは万次郎が盗まれた「青江下坂」という名刀の詮議と折紙(鑑定書)の行方を探索しながら伊勢の国を巡っていく。 ところが、これも吉原とも島原とも違う、伊勢神宮のおひざ元の花街にある「油屋」の場から、貢の運命が狂い始める。万次郎を探しつつも愛するお紺に会えるはずと思っていたが、お紺は他の座敷で忙しく、仲居の万野は「ここで待ちたいなら代わりの妓を呼べ」という。万野はそれはもうねちねちと貢に言いたい放題、侮辱の限りを尽くす。さらにお紺からも満座の中で愛想尽かしされてしまう。そして貢はとうとう本物の「青江下坂」で……。 中村梅玉が襲名披露興行でもつとめた貢を、さらに円熟を洗練を重ねて演じる。お紺に中村時蔵、藤浪左膳・料理人喜助に中村又五郎、今田万次郎に中村扇雀 ほか。

21/9/24(金)

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