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NO MUSEUM, NO LIFE.
鈴木 芳雄
編集者/美術ジャーナリスト
梅津庸一キュレーション展 フル・フロンタル 裸のサーキュレイター
20/6/10(水)~20/6/29(月)
日本橋三越本店 コンテンポラリーギャラリー
作家リストを見れば、横山大観、青木繁、有元利夫…何を今さら。やはり、日本橋三越だからか。長く日本では美術の普及、評価の付与、時流の創出は百貨店の仕事だったことを念頭に置きつつ、いや、しかし、これは現代美術家の梅津庸一がキュレーションした展覧会。けっして一筋縄ではいかない、誠にユニークで意義深い展覧会だったのである。よくよく見ていくと、作家は大家ばかりでなく、無名のアマチュア画家たちもいる。「一見きれいな解答を導き出しているように見える作品(=百貨店の商品としての美術)よりも、それ以外の未分類の雑多な情報に満ちた作品群にこそ関心がある」という梅津らしくまとまっている。三越ではありえそうにないこの展覧会実現の裏に、自らの気風を変えていくというメッセージが込めているとしたら、百貨店も引き続き、美術マーケットの主要メンバーで居られるだろう。
20/6/13(土)