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水先案内人のおすすめ

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話題作、アート系作品を中心に

恩田 泰子

映画記者(読売新聞)

すべてが変わった日

1960年代のアメリカを舞台にした異色のスリラー。ケビン・コスナーとダイアン・レインが演じる夫婦が「家族」を守ろうとして、どんどん危険にさらされていくのだが、それだけの映画ではない。 その夫婦は、モンタナの牧場で息子夫婦と暮らしていたが、突然の事故で息子が死去。3年後、息子の妻は再婚し、まだ幼い男孫を連れて牧場を出て行くが、彼女の新しい夫はDV男。「義理の娘」と孫を案じた主人公夫妻は、その行方を追って旅に出る。そしてたどりついたのは問題の男の実家。その母親は、一家の男たちを操って暴力で他人を支配する猛女だった。 最初のうちは、いい具合に歳をとったコスナーとレインの姿にしみじみ。姑として嫁とぱちっと火花を散らすレインを見る日が来るなんて……と奇妙な感慨を覚えたりもする。だが、どうだろう。危険に近づくほど、彼女は輝く。レスリー・マンヴィルが演じるDV男の母親は見るからに異常だが、レインの年齢を超越した女っぷりの良さも尋常ではない。コスナーが演じる強くて優しい理想的なアメリカ男に守られているようで、実は支配しているファム・ファタールがそこにいる。 『マン・オブ・スティール』を見てレインとコスナーのカップリングに可能性を感じていた人も少なからずいるだろうが、そんな人も本作にはきっと大満足だ。

21/8/1(日)

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