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植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

ファヒム パリが見た奇跡

チェスを指したことがないので本当のところは分からないが、『完全なるチェックメイト』『ボビー・フィッシャーを探して』『チェスをする人』などの印象から、チェスのプレイヤーは世間の常識では測りきれない狂気のようなものを内に秘めている人物が多いような気がする、というのは偏見だろうか。 『007/ロシアより愛をこめて』に登場する(すぐ殺されてしまうのだが)チェスのモスクワ選手権タイトル保持者クロンスティーンは、狂人にしか見えなかった。 それはともかく、本作『ファヒム』の主人公でバングラデシュの8歳の天才チェスプレイヤー少年ファヒムは、もちろんそんな人間たちとは真逆で、家族思いの心優しい少年だ。 バングラデシュからパリに逃れた政治難民の少年が、チェスのチャンピオンを目指した実話をもとにしたヒューマンドラマ。原作は彼が成人してから綴った自伝『Un roi clandestine(密入国者の王さま)』(日本未発売) 、とのこと。 母国バングラデシュで天才チェス少年として有名だったファヒム(アサド・アーメッド)は、わずか8歳の時に政治難民として父親とともに突然パリに移り住むことになる。そして彼らは自由な未来を勝ち取るために言葉も分からず住む場所も定まらないパリで、チェスのチャンピオンを目指すことに。強制送還に怯える日々を送る中、ファヒムはフランスでもっとも優秀なチェスのコーチであるシルヴァン(ジェラール・ドパルデュー)に出会う。最初は反発し合う2人だが、次第に友情を築いていく。チェスのフランス国内大会がスタートする一方で、ファヒムに強制送還の脅威が迫っていた。 実在のファヒム・モハンマド青年は現在19歳。やっと滞在許可証はとれたものの有効期限はたったの1年。フランス国籍を取得するのにあと5年がかかるという。 監督・脚本はまだ本邦公開作品がないピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル。難民の厳しい現実を知るうえで格好の映画だ。

20/8/13(木)

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