カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた超話題作です。「ユーモア、サスペンス、アクション……映画のすべてが詰まった第一級のエンタテインメント」と寄せられる賛辞も最高級ですが、ポン・ジュノ監督自らネタバレ回避を求める異例の「お願い」には協力せざるを得ません。 そこで、ご紹介するのは半地下で暮らす全員失業中のキム一家と高台の豪邸に住むIT企業社長のパク一家という触れ合うことなど滅多にない2組の家族があり、キム一家の兄妹が偶然パク一家の家庭教師として働き始めるところまでなんです。この思いもよらない2家族の接近が両者の関係に亀裂を生み、決して戻ることのできない悲喜劇へと突き進んでいきます。 本作品について監督は「道化師のいないコメディ」「悪役のいない悲劇」と評していますが、これが実に言い得て妙。さすがですね。そしてアートと娯楽が見事に溶け合った作品でもありました。この作品から受けた驚きは学生時代に私が見た『2001年宇宙の旅』以来です。何しろ2度と出ないような傑作を同時代に見ることができたんですから。「ポン・ジュノ監督ありがとう」

19/12/25(水)