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水先案内人のおすすめ

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ギャラリーなどの小さいけれども豊かな展覧会・イベントを紹介します

白坂 由里

アートライター

トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう

他者のことはわからないことを前提に、他人の身になってみることを意味する「エンパシー」「他人の靴をはいてみる」という言葉をよく耳にするようになった。それは「翻訳」という伝達行為にもつながっている。そこで生じる誤解や誤読も「思いがけないこと」として面白がれたら、もっと豊かな交流ができるんじゃないか。ずれやギャップから想起された、デザインやアートなどのさまざまな提案が並んでいる。 インタープリター(通訳者・解釈者)の和田夏実は、インタラクティブ・メディア研究者・デザイナーの筧康明とともに、「雨が降る」「雲が生まれる」「飛行機が飛ぶ」という手話の形に手を動かすと、その動きに応じた映像となって現れる体感型作品を展示。手話を第一言語とする両親のもとで育った和田のアイデアは楽しく、さまざまなイメージがふわりふわりと生まれる。美学者・伊藤亜紗を中心とした『見えないスポーツ図鑑』の映像では、力の駆け引きや選手の身体感覚を、テレビの解説よりよほど的確に面白く伝えている。 ほかに、モールス信号(タニア&ケン・フィンレイソン)、おでんはポトフか〜日本の食材で外国の料理をつくる(永田康祐)、サメと愛し合えるか(長谷川愛)など、「できる/できない」の境界を超えて飛躍が楽しめる。デザイナーやアーティストと企業や研究所、エンジニアなどとのコラボレーション事例も複数あるので、何か創造のヒントがあるかも。

20/11/27(金)

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