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浦島茂世
美術ライター
藝大コレクション展 2020――藝大年代記
20/9/26(土)~20/10/25(日)
東京藝術大学大学美術館
前身となる東京美術学校が開学してから現在まで集めてきた名品がずらりと揃うベストアルバムのような展覧会。上村松園《序の舞》や狩野芳崖《悲母観音》、高橋由一の《鮭》など、一度はどこかで見たことのある作品がずらりと並ぶ第一部も楽しいけれど、藝大生たちがせっせと描き、大学が大切に保管してきた自画像コレクションの第二部がよりいっそう刺激的。熊谷守一が非常に整った顔立ちであることや、佐伯祐三の色使いがポップなこと、浜田知明や柳宗理が油彩で自画像を描いていたこと、藤田嗣治のビジュアルが極めて平凡なことなど驚くことばかり。なので、日本の近現代美術が好きな人には非常におすすめ。とはいうものの、非常にみずみずしくて、若さと可能性全開の香月泰男の自画像を見たときだけは、その後の彼を思い出し、重い気持ちになったのであった。
20/10/4(日)