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高橋 諭治

映画ライター

はちどり

ただでさえ多感な14歳の少女の“生きづらさ”を見つめた本作は、韓国の女性監督キム・ボラの長編デビュー作だ。父親の権威主義、兄の暴力、友だちとの人間関係の破綻、耳の後ろにできたしこりの手術。そんな理不尽な現実に悩み、人知れず孤独感を募らせていく主人公ウニの日常を、キム監督はみずみずしさの中に不穏なサスペンスが揺らめく特異な映像感覚で映し出す。 決してファンタジー映画ではないのに、ウニがいくら大声で呼んでも母親が振り向いてくれないシーンは白昼夢のようにおぼろげで、ウニの相談相手になってくれる塾の先生は幻のようにはかなげな存在として映像化されている。これは並外れた感性であり、物すごい才能だ。これほど繊細かつスリリングで、驚きに満ちた思春期映画は滅多に観られない。 作品の背景となった1994年ソウルの時代性を今に甦らせ、普遍的な少女の成長物語へと昇華させたスケールの大きな視点も圧巻!

20/6/19(金)

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