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佐藤寛太の偏愛主義でいこう!

『不死身ラヴァーズ』松居大悟監督にインタビューしました!<後編>

不定期連載

第42回

今回は前回から引き続き、寛太さんが出演する映画『不死身ラヴァーズ』の松居大悟監督へのインタビュー後編をお届け。主人公“長谷部りの”が好きな人“甲野じゅん”と両想いになる度にじゅんが消えてしまうという物語の本作で、原作コミックとは男女を逆の設定にしたウラ話とは? 松居監督から見た俳優・佐藤寛太像など、寛太さん本人によるインタビューならではの興味深いお話をお楽しみください!

※前回のお話はこちら!

『不死身ラヴァーズ』松居大悟監督にインタビューしました!<前編>

撮影が終わって、松居さんに操られていたんだって気がつきました

佐藤 そこから『不死身ラヴァーズ』についての連絡をくれたのは、その数カ月後で。このタイミングでこの企画がまた動き出していたってことが、奇跡だなと思います。

松居 タイミングと縁だよね。プロデューサーからも名前が挙がって。でもスケジュール的にはちょっと無理めな感じだったんだけど、マネージャーさんも前向きに考えてくれて。

佐藤 マジでありがとうございます!って感じでした。(長谷部りの役の)見上(愛)さんはオーディションだったと聞いたんですけど、その段階では原作どおりに消えていくのはりのの方だったんですか?

松居 そうだね。

佐藤 じゃあ見上さんに決まってから男女逆転になったということですよね。

松居 最初、じゅんを誰にしたらいいのか思いつかなくて、まずはりのをオーディションで決めましょうってなったの。見上さんに会って、めちゃくちゃいいなって思って。

佐藤 「なぜそういう芝居をするんだろう?」と思ったって言ってましたよね。

松居 すごく不思議な芝居するからこそ、 消えるよりも追う側を演じてもらうのがいいんじゃないか、と。そう考えてみたら、消える側のじゅんに関してもちょっと広がってきたんだよね。たぶん10年ぐらい寝かせていたせいで、自分の中でじゅんはこういう人、りのはこういう人って結構固まっちゃっていたんだと思う。でも入れ替えたことで、すごく風通しがよくなった。

佐藤 見上さんと一緒に取材を受けたとき、「監督と3人で話すことってあんまりなかったよね?」って話になって。俺はカットがかかってからもぺちゃくちゃ喋っていたのになんでだろうと振り返ってみたら、松居さんは伝えたいことがあるときはタイミングを見計らって俺の近くに来て、コソコソっと話していたんだなと思ったんですよ。しかもふたりに言うことが違いましたよね?

松居 やっぱり役者によって、何を伝えたらどうなるかが違うからね。もしも似ている役者だったら、まとまって話すだろうけど。

佐藤 ……そうなんだ! 見上さんから松居さんの話を聞いて、「そんなにロジカルな対話をしていたんだ!」っていう驚きがあったんです。俺は「もう1回」と言われたときは、なぜかは分からないけど何かが違うんだろうな……と思いながらやっていたんですけど。

松居 声が小さかったのかな、とか(笑)。

佐藤 撮影が終わって振り返ったとき、そうか、松居さんに操られていたんだって気がつきました。

松居 佐藤寛太って役者は、説明せずに「もう1回」ってやる方がよくなると思ってたんだよね。寛太はちゃんと考えて準備をしてくるから、それが剥がれたぐらいが一番面白い 。

佐藤 俺、そんなに準備してるんだ。恥ずかしい……!

松居 でもたぶんそれは無意識だよ。台本を読んで準備してきたことを段取りとかで試しているのを見て、この時間が終わって早く剥がれないかなって思ってた(笑)。

佐藤 そうなんですね(笑)。

松居 だから本人の意識下ではないところ、例えば速く走る場面とかを頑張らせると、用意してきたところが抜けていってちょうどいいな、と。

佐藤 確かに俺はひとつのことしかできないですしね(笑)。そういうことって、どの段階で分かるものなんですか?

松居 読み合わせとリハしたじゃん。あのときに、演出家にこう言われたらこうなるんだな、って作り方を見てる。

佐藤 そこを見てるんだ。面白い!

松居 現場でどう伝えるかを考える時間はないからね。

監督、今の夢ってなんですか?

佐藤 松居さんは、街で見かけた気になる人とかを日常的にメモしたりしていますか? 原作者の高木ユーナ先生もおっしゃっていたけど、この映画には男女が逆転しても変わらない美しさや惨めさが描かれていると思うんです。そういう感情をすくいあげる描写は、日頃からメモを取っているからできるものなのかな、と思って。

松居 小さい子を抱っこしてるおばあちゃんっていいなって人間として思ったときは、別にメモはしないかな。でも衣装とかについて、作品に生かせそうだと思ったときはメモを取っているかも。女子高生がパンツスタイルで部活をするのっていいなと思って、今回も生かしているしね。あとは日向岡(※『不死身ラヴァーズ』が撮影された神奈川県平塚市日向岡)っていう三角の屋根の家が並んでいる場所も、東京から大阪に向かっているときに見つけてメモした。

佐藤 すごい、新幹線で見つけたんですか! 

……そろそろ時間切れですよね? 聞きたいことがまだまだあるんですけど……、今、製作費を100億円もらったらどんなことがしたいですか!?

松居 アニメと実写を混ぜた作品をやってみたいかな。昔のディズニーの作品とか、最近だと『ワンダーハッチ−空飛ぶ竜の島−』みたいな。

佐藤 面白そうですね。じゃあ、もしも僕とまた一緒に仕事をしてくれるとしたら……?

松居 あ〜、……もうないかな(笑)。だって、またやりたいって思ってる?

佐藤 当たり前じゃないですか! 

松居 今回は『軍艦少年』を観たときに感じた、まっすぐさやつかめなさがいいなと思ってお願いして。でも普段の自由な感じって、もしかして芝居ではあんまりやってなかったりするのかな。『不死身ラヴァーズ』だとバーベキューのシーンみたいな。

佐藤 みんなに嫌われる感じですよね(笑)。素が出ていて恥ずかしかったシーンです(笑)。今回、いろんなじゅんを演じたんですけど、りのから見たじゅんであればいいだけで演じ分けを意識する必要はなかったんですよね? 

松居 そうそう。なのに最初は気にしていたから、ダサいなと思ってた(笑)。

佐藤 途中で「無理だ!」と思ったんです(笑)。

松居 だからどんどん良くなったんじゃない?

佐藤 ですね(笑)。監督、最後に聞かせてください。今の夢ってなんですか?

松居 なかなか聞かれない質問だね。なんだろう……、自分の劇団の公演を本多劇場でやること。あとは寛太で『カッコーの巣の上で』をやったら面白そう。

佐藤 マジですか!? 小栗旬さんが舞台でやってましたよね。

松居 寛太がやるなら、舞台でも映画でもどっちでも。

佐藤 映画は高校生のときに観ました。

松居 落ち着きのなさが生かせそうな役だと思うよ。

佐藤 確かにそんな気がします(笑)。

取材・文:細谷美香
撮影:稲澤朝博
メイク(佐藤寛太):KOHEY(HAKU)
スタイリング(佐藤寛太):平松正啓(Y’s C)

プロフィール

佐藤寛太(劇団EXILE)

1996年、福岡県生まれ。2015年に劇団EXILEのメンバーとなり俳優活動を開始。主な出演作に『恋と嘘』『わたしに××しなさい!』『DTC-湯けむり純情篇-from HiGH&LOW』『家族のはなし』『走れ! T校バスケット部』『jam』『今日も嫌がらせ弁当』『いのちスケッチ』『花束みたいな恋をした』『軍艦少年』『Blind Mind』『正欲』(以上映画)、『探偵が早すぎる』『駐在刑事』『僕の初恋をキミに捧ぐ』『おやすみ王子』『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』『ハゲしわしわときどき恋』『美食探偵 明智五郎』『ヒミツのアイちゃん』『シェフは名探偵』『TOKYO MER 走る緊急救命室』『JAM -the drama-』『あせとせっけん』『テッパチ!』『結婚するって、本当ですか』(以上TV)、「音楽劇『銀河鉄道の夜2020』」『怖い絵』『サンソン ―ルイ16世の首を刎ねた男―』(舞台)など。Web版『PEAKS』にて「旅する寛太」連載中。2024年4月には舞台『鴨川ホルモー、ワンスモア』に出演。5月10日(金)から公開中の映画『不死身ラヴァーズ』にも出演。

『不死身ラヴァーズ』
公開中

ニッポン放送開局70周年記念公演『鴨川ホルモー、ワンスモア』
2024年9月 Blu-ray&DVD発売予定
https://event.1242.com/events/kh_oncemore/

本連載の前身、佐藤大樹さん&佐藤寛太さんの連載はコチラ!