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SHIN 音楽甘党遊戯

【Essay】ランズベリー・アーサーが師匠 SHINが挑戦する声優という道

隔週連載

第30回

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アーティストのSHINさんがさまざまなスイーツを味わい、探求していく連載企画「音楽甘党遊戯」。

今回はゲストとして声優のランズベリー・アーサーさんが登場!
アーサーさんはSHINさんが声優として参加される「from ARGONAVIS」にも出演中。実はSHINさんが参加されることになったのも、アーサーさんが深く関わりがあるのだとか。
公私ともに仲が良いふたりの関係に迫っていきます!

SHINさんにとってのキーパーソンが登場!

── お2人はどんな形で出会われたんですか?

SHIN ちゃんとお会いしたのは共通のカメラマンさんを通してですね。
そのカメラマンさんがアーサーさんのやってらっしゃるアルゴナビスのFantôme Iris(ファントムイリス)見て、僕を連想したらしくて。アーサーさんを僕に会わせたいっておっしゃってくださったんです。
もともと僕はアーサーさんのことを知っていたんですけど、僕がなんで知っているかというと、Fantôme Iris(ファントムイリス)のサポートメンバーをYOUSAYがやっているんですよ。それで「こんな楽しそうなコンテンツがあるのか」と。いつかやってみたいな、って言ってたんですよ。そうしたら、アーサーさんにお会いできる機会が出来まして。
お会いしたときに、こういうコンテンツはすごく楽しそうだと思っていたことと、機会があったらぜひ僕もやってみたいんです、というお話をしたんです。そうしたらアーサーさんがアルゴナビスのプロデューサーさんと食事の席を設けてくださっていろいろお話させていただきました。

アーサー そのプロデューサーさんが元々バンドのマネージャーをされててね。

SHIN そう、それで僕のことは知っててくださっていて、オーディションを受けるに至ったっていう。
ということで、アーサーさんは僕の今回のお仕事の超キーパーソンです。

アーサー はははっ!

SHIN さらにオーディションのときに声優のいろはを教えていただいて。

── SHINさんはアーサーさんのことを師匠って呼んでいらっしゃいますよね。

アーサー 紹介した手前、プロデューサーに歌はいいんだけど声優は全然ダメでしたね、残念ですね、また今度、ってなったら寂しいじゃないすか。せっかく紹介するんだったら絶対に受かってほしいし一緒にやれたら楽しいな、と思ったんです。なら、責任持って鍛え上げるしかない、と。

全ての繋がりがピタリとハマッた不思議な縁

── お互いの第一印象は覚えていらっしゃいますか。

アーサー SHINさんのYouTubeチャンネルは観たことがあって。

SHIN ありがとうございます!

アーサー チャラい人なんだろうな、という印象はやっぱりありました(笑)。でも、話してみるとそんなことはなくて、話してみると、天然なところがあったり、意外と友達が少なかったり。

SHIN そうなんですよね(笑)。

アーサー コミュ力高そうとか、陽キャで毎日飲み歩いてそうに見えるけど、意外とそうじゃない。
あと、不思議だな、と思うことがあるんですけど、引き合わせてくれたカメラマンさんは僕のライブの撮影をピンチヒッターで来てくれた方なんです。いつもは違うカメラマンさんが撮ってくれているんですよ。本当にたまたま、ライブを撮影してくれて、いろいろと感動して、SHINさん紹介したいと言ってくれて。
それがちょうどアルゴナビスの新バンドが出るオーディションを準備している時期だったんです。で、プロデューサーも元々ViViDが好きで、SHINさんの歌声が大好きだって言っていて。
だから、本当にいいタイミングで繋がったんですよね。声優としての実力は確認しなくちゃいけないしオーディションはガチになっちゃうんですけど、よかったら受けて欲しいです、っていう嘘みたいな本当の流れがありました。

SHIN 本当にもう何も嘘じゃないですね。

アーサー それこそ紹介されるのが1シーズンぐらい遅かったらオーディションには間に合わなかったんですよね。だからそのカメラマンさんがたまたま僕のライブに来ていたところから、全ての繋がりがピタッと嚙み合ったので、本当に不思議な縁だな、と思います。

SHIN ちょっとでもタイミングがズレたら叶わなかったかもしれないんですよね。こうなった限りは「全力でやらせていただく」ということに尽きます。
アーサーさんがすごく真面目に取り組まれてるのは話をお聞きしていて知っていたので、アーサーさんが推してくれた気持ちも大切にしなきゃ、頑張ろうと思います。

── お話を聞いているとSHINさんは時々そういう廻り合わせみたいなものがありますね。

SHIN 人に恵まれてるんですよ。

アーサー いいことだよ! 才能だと思う。

SHIN 人の運がいいというか。

アーサー 事務所のプロフィールに書こう、「特技 人の運に恵まれてる」って。

SHIN 注意書きみたいな(笑)。

アーサー そうそう、「※」つけてね(笑)。

SHIN でも確かに僕の特殊の技能って言ったら「良い人が周りにいてくれること」かもしれない。

── でもそういうことが本当に大事ですよね。

SHIN ですね。

アーサー 本当に。

── それからずっと仲良く?

アーサー 一緒に飲んだりとか。

SHIN ごはん食べたり。

アーサー SHINさんの家にも遊びに行かせてもらったり。
声優レッスンしつつ、バイオハザードしてるSHINさんを見たりしていました。SHINさん、スマブラはめちゃめちゃうまいんですよ。でも、バイオハザードは「自信ありますよ」って言うわりに意外とうまくなかったりして(笑)。

SHIN もしかしたら、バイオそんなにうまくないかもしれない、ってそこで気がついたんですよ(笑)。

アーサーさんが行った声優レッスン

── 声優のレッスンはどんなものだったのかもお聞きしたいです。

SHIN 歌もそうなんですけど、意外とオーバーにやらないと、普通に話してるようにすら聞こえないということを最初におっしゃってくださったのが印象に残っています。
僕がセリフを読むと、「いやSHINさん、最初はアメリカの通販番組の人のようにやってみて」って。

アーサー 「やあベッキー、今日はこの洗剤を用意したんだよ!」みたいな、昔テレビでやっていたようなコテコテのテンプレの通販番組ぐらいの気持ちでお芝居しないと、というお話をしたんです。
今は表現力がまだ高い状態じゃないので、自分が思ってる5倍は出さないと人に表現が伝わらないよ、って。

SHIN それは今も気をつけてやっています。

アーサー あとは引き算。歌もそうだけど出せないと、引き算ができないから。下から上げていくよりは上から減らしていった方が楽なんですよね。
だからまずは自分が今できる全開でやって、やりすぎだからちょっと抑えてっていうところに持っていければベスト。出力が足りてないものをあげるのは難しいんです。

── 最初はSHINさんの出力も低かったんですね。

アーサー 最初の自分で作ってきたものの出力はすごく低かったです。でも、なかなか自分ではわからないんですよね。自分もこの仕事を始めたての頃は、できているつもりでも録音して聞いてみると、すごく平たく聞こえるとか、こんな表現したはずじゃなかったんだけどな、ということがありました。
でもどうやったらよくなるのか当時の自分の中にはイメージがなかったので、やっていく中でこのぐらい表現して、それをちょっと下げて、角をとって丸くして、とか、整えていくといわゆるテレビで聞いているアニメの表現になっていくんだなと気づいたんです。
SHINさんは、まず通販番組ぐらいやってもらったら格段によくなって。ミュージシャンだから、耳がいいんですよね。僕がキャラ感を聞いて、キャラクターの設定を見て、こんな感じの芝居がベーシックになると思う、というものをやって見せたら、それを真似してくれて。そこから自分の味をちょっとずつプラスαしてキャラクターを作っていってくれた形です。

SHIN セリフも音階でとらえたほうが自分的にはやりやすかったですね。感情の幅、ここは高く言えばいいのかとか、音程と割と近いと気がついてから、少し落とし込めた気がします。

アーサー 役者だと最初に習うのは気持ちが大事だということ。でもそれは時間をかけて積み上げていくものなんですよね。
でもあくまでも芝居を音でそれっぽく聞こえる流れは確実にあるので、小手先のテクニックになっちゃうんですけど、音で感情を表現するっていう方が多分、役者スタートじゃないSHINさんには一番話が早いなと思ったんです。
悲しいときはこういう感じの音、嬉しいときはこういう音になるよ、って教えて、そこに後から感情のせるほうが早いなと思って。

SHIN そこはめちゃくちゃやりましたね。

アーサー 空手の型みたいなものに、そこに自分なりの表現を乗せると絶妙なニュアンスになっていくので。だから、音の型をまず教えて、SHINさんなりの味をそこに後からプラスしてくれれば大丈夫、ということで。

SHIN その場でレクチャーされてやりました。
歌って、わりと自由じゃないですか。例えば音程が当たりまくっている人が正解かって言ったら、そうじゃないし。でも声優さんはそれよりは型がしっかりある気がするんです。
そこにもっとうまくはまっていけたらなと思っています。

アーサー やっていくともっと楽しくなるよ。型が逆になくなるから。

SHIN なるほど!

アーサー 最後は無の型になる。アニメは「眼鏡の人は眼鏡っぽい喋り」とかそういう型はあるんですけど、ある程度いくと自分の味とか、「こうしたい」というものが出て、逆に型を壊し始めたりして。

SHIN 面白そう! そこまで到達できるかどうか。

アーサー その境地に早く(笑)。

── オーディションまでレッスンは何回ぐらいやられたんですか。

SHIN 5回ぐらい? プラス、僕がボイスメモで毎日送ったら添削とかしてくださって。

アーサー スタジオを借りて、1回に、2~3時間ぐらい授業をマンツーマンでやりました。やった上でSHINさんが翌日に「家でもう一回練習したやつを聞いてください」って言って音源を送ってくれて。
それを聞いて自分もLINEで、「ここはもうちょっとこうした方がいい」とか、「またちょっと元に戻っちゃったから意識していこう」とか。

SHIN 元に戻ったって言われると結構ショックですね。

アーサー やってるときはいいんだけど時間があくとやっぱりね。感覚とか、パワーが下がっていくから。

SHIN 僕も今、SNSに上がっているアルゴナビスの紹介の収録からは結構経っているのでちょっと不安なんですよ。

アーサー ゲーム収録も多分そろそろのはずだからね、ちょっともう一回レッスンしようか。

SHIN まだゲームでいいところが見せられていない。

── お互い、意外な一面はありましたか?
おうちでゲームをしたというお話もありましたが。

アーサー そもそもSHINさんがゲームをやるイメージがなかったんですよね。スマブラがめちゃめちゃ強いっていうのはずっと自分で言ってて。

SHIN なんかアーサーさんにはゲームでいいところ見せられてないんだよなあ。

アーサー でもスマブラが強いということは感じてはいるよ。

SHIN ちゃんと強いんですよ。たまたま調子が悪いんですよ、たまたま(笑)。

アーサー スマブラは調子よかったですか?

SHIN 悪かったです。

アーサー SHINさんと初めて会った飲み会で、YOUSAYも途中から参加して、YOUSAYのなじみのロックバーに行ったんですけど、なぜかNintendo_Switchとスマブラが置いてあって。

SHIN で、やってみたら僕はちょっとお酒が入ってるし、相手が意外とうまいっていう。

アーサー お店に置いてあるから何となくできるのかなぐらいで、SHINさんは結構ナメてて(笑)。

SHIN ナメてましたね(笑)。そうしたらちゃんと強かった。

アーサー あれ、SHINさんあんなこと言ってたわりにそうでもない? みたいな空気になって。

SHIN 俺の初めてがそれだったのが不甲斐ないですね。本当に強いので、それだけは証明したいですね(笑)。

アーサー 今度、SHINさんがスマブラをオンラインでやっているのを横で観たいな。

SHIN ぜひぜひ。相当強いですよ。
ただ自分が強いって言ってるだけのやつみたいななんですけど、強いです!

アーサー いや、でもお酒が入っていても強い片鱗があったので、素面で自分のコントローラーだったら強いんだろうな、って。

SHIN 「これ、俺のコントローラーじゃないからな」っていうずっとダサイ言い訳をしてました(笑)。

アーサー あれおもしろかったなあ。

SHIN ただの言い訳でした。

SHINさんがタメ語拒否!?

── 逆にアーサーさんの意外な一面ってありました?

SHIN まだそんな意外な一面が見えてなくて。ずっとこの感じでスッとされてますし。

アーサー ははは! そう?

SHIN 酔ってもこんな感じなんですよ。ちょっと笑い上戸になるぐらい?
「今日のこれは良かったね」とか、「ここはもうちょっとこうした方がいいね」とか、ちゃんと声優のキャリアの見地から言ってくださるので僕も真面目にいつもお話させてもらうんですけど。
地元とかで飲まれるときは結構ラフになるんですか?

アーサー 地元というか、ゴールデン街的な場所で知らないおっちゃんとが飲むことがわりと多くて。

SHIN 結構社交的なんですよね。

アーサー 激狭な店で、入った瞬間によくわかんないバーテンのおじさんが「ようこそ~! ウェルカムテキーラどうぞ!」みたいなところに入ったりして。

SHIN だいぶ雑多な感じの。

アーサー そうそう。こんな見た目なんで、「お兄ちゃん何してんの」って聞かれたらYouTuberやってて普段はコンビニバイトしてますとか雑な返しをしています。特に何の意味もない会話なんですけど。

SHIN 声優です、みたいな話はしないんですか。

アーサー しないしない。何もしない。年齢を聞かれても「ご想像にお任せします」ってやってますね。

SHIN 飲むときってそれぐらいがいいかもしれないですね。結構、自分のこと言っちゃうんで。

アーサー 偉いね。

SHIN でもそういうラフな感じでちょっと飲みたいですね。

アーサー でもずっとSHINさんに「タメ語でいいよ」って言ってるのに「いや、僕はアーサーさんにタメ語は使えないです!」って。

SHIN 体育会系なんで、僕。

アーサー 師匠にタメ語は、みたいな。
ちゃんと一線引かれるからな~寂しいな~。

SHIN わりとちゃんと縦社会で生きてきたから!

アーサー 真面目だな、本当に。

SHIN 年上でタメ語使ってないのって多分、19のときからの友達とかかな。
それに僕の中で、始まり方って結構大事なんです。アーサーさんは言ってみれば恩人。
仕事を紹介していただいて、僕のやりたいことを叶えてくださった方なので、もうなんなら足向けて寝れないぐらいなんです。

これからのことに「ワクワクする」

SHIN アーサーさんもやるんですか、ヴァイスシュヴァルツブラウ

アーサー ブラウやってないんですよ。

SHIN 最近、始めたんです。

アーサー そうなんだ。カードゲームだよね。

SHIN この前アニメイト池袋本舗に遊び方講座を聞きに行って。

アーサー 1人で? プライベートで? ヴァイスシュヴァルツブラウをやりに?

SHIN はい。行ってきました。

アーサー すごいね!

SHIN 僕、ちいかわ好きなんですけど、ちいかわのデッキも組めるんですよ。
もうこれはやるしかない。優勝目指そうかな、って。

アーサー いや面白いな。

SHIN カードゲームもともと好きなんですよ。

アーサー そうだよね。遊☆戯☆王とかもやってるって話だったし。

SHIN アーサーさん、「遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!」の主人公もやってらっしゃるんで。
アーサーさんイベントで登壇されてるところに普通にお客さんとして行ったことがありますからね。

アーサー 前も自分がジャンプのイベント出てるときに、「見てましたよ、アーサーさん」ってLINEで連絡くれたりして。嬉しいですね。

SHIN ゲームショウに行って、アーサーさんの声じゃね?ということもあります。

アーサー でも今後はSHINさんがそう思われる立場だからね。アルゴナビスがブシロードブースとかに。

SHIN ブシロック出たい!

アーサー ストストのPV流れて、この声SHINさんだって言われる側になるからね。わくわくするよね。
テレビCMも流れる可能性あるんじゃない? ストストで。他のバンドはみんなCMやったりしてるから。

SHIN わくわくしてきますね。

アーサー 楽しみだね。しかもSHINさんの顔は出ずにキャラクターとしての声が出るから。

SHIN 愛着が出ますよね、キャラクターに。

アーサー 出る!

SHIN ちょっとこれからはキャラに恥じない生き方をしていきたいと思います!

撮影協力

KURAMAE CANNELE
住所:東京都台東区蔵前2丁目1-23 蔵前第2ビルヂング

1F
KURAMAE CANNELE
営業時間:平日11:00 - 19:00/土日 11:00-19:00(18:00 L.O.)
定休日:月曜日

2F
KURAMAE CANNELE CAFE
営業時間:11:00 - 18:00(17:00 L.O.)
定休日:月曜日
※グランカヌレが売れ切れ次第、営業終了となります。
https://www.kuramae-cannele.jp/

プロフィール

SHIN

2011年エピックレコードジャパンからヴィジュアル系ロックバンドViViDのボーカルとしてデビュー。
その圧倒的な歌唱力と魅力的なルックスを持ち合わせる逸材として話題となり、結成2年で日本武道館公演を行う。
2015年ViViD解散後、2016年12月六本木 EX THEATERでのワンマンライブでソロボーカリストSHINとして復活を果たす。
2017年に1stアルバム『Good Morning Dreamer』をリリースし、2018年にはYouTube channel「SHIN LOIDちゃんねる」を立ち上げ、登録者数は現在13万人を超える。
2020年より咲人(ナイトメア)とのプロジェクトSEESAWも始動するなど、その活動は多岐に渡る。
2023年、ボーイズバンドプロジェクト from ARGONAVISの新キャラクター、大阪出身の2人組ロックバンドST//RAYRIDE(ストレイストライド)Vo.淀川麟太郎役として抜擢。
2023年12月20日(水)SHIN ONEMAN LIVE「AWAKENING DREAMER」がZepp Shinjukuにて開催決定。

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撮影/友野雄、取材・文/ふくだりょうこ、企画・構成/藤坂美樹