
前回、ぱんなについてお話ししましたが、僕のことを以前から応援してくださっている方なら、ぱんなの前にうちにはもう1匹、わんこがいたことを知っているかもしれません。
名前は、ピーチ。僕が小学生の頃からずっとそばにいて、残念ながら数年前に亡くなってしまったんですけど、今でもずっと僕の心の中で元気に生き続けている大切な存在です。
犬種は、ミニチュアダックスフンド。そもそも僕が犬を飼いたいと言ったことから、ピーチをお迎えすることになって。確かそのとき、「テストで90点以上取ったらいいよ」と言われたんだったけかな。で、普段はまるでやらない勉強を一生懸命頑張って、なんとか飼えることになりました。

そんな感じでうちの家族の一員になったから、お世話はよくしていました。よく一緒に散歩も行ってたしね。家の近くになだらかなロングストレートの坂道があって、そこを駆け上がって、坂の上の住宅街を散歩して、また坂を下りて家に帰るというのが定番の散歩コース。ただ、それだけ世話をしていたわりには、うちは両親と弟の4人家族だったんですけど、ピーチの中での序列は常に両親が最上位。で、弟と僕が最下位争いをしていました(笑)。
ピーチはよくうれションをする子で。しかも、床に散った自分のうれションを尻尾でワイパーするんですよ。で、余計におしっこが周りに飛び散るっていう(笑)。あとで掃除をするのが大変だったなあ、と手を焼いていたことを今ふと思い出しました。
そんな思い出はたくさんあって。僕が家に帰ると、いつも廊下から走って迎えに来てくれたんですね。リビングから玄関に行くのに一回曲がらなきゃいけないんだけど、僕が帰ってくると、そのコーナーのところをキュキュッてカーブして。床がフローリングだから、爪が滑ってドリフトみたいになるんです。なんでもない日常の風景なんだけど、今思い出しても可愛かったなあ。

あと、僕は家に帰るとすぐ靴下を脱ぎたい派で。手も使わず足だけでポイポイって脱ぐのが、いつもの癖。しかも適当に脱ぎ散らかすから、どこで脱いだかすらも忘れてしまうんです。だから、ソファの下を掃除していたら靴下が片一方だけ出てくるなんてことは日常茶飯事でして…。結婚したら嫁さんに怒られそうな話ですが、ダメだと分かっていても、それもまた自分なのだと今はプラスに捉えてますね(笑)。
でも、実家にいたときはいつもピーチがそこらへんに散らばっている僕の靴下をくわえて、洗濯機まで持っていってくれていた。あれは助かりましたね。片一方だけ見当たらないというときも、ピーチがいれば見つけてくれたんで全然困らなかった。結果、おかげで良くも悪くも自分の適当な脱ぎ癖が治ることはなかったですね(笑)。

一人暮らしを始めてからも、家族と電話で話した時に自分の声に反応してか、犬の遠吠えのように横で喋り出すんですね。電話代わってもらったりして喋るんですが、あれは忘れられないエピソードですね。何を話してるかはわからないけど、そんな姿が可愛らしくとても人間味があるワンコだったんです。
その後、もう新しいペットをお迎えする気持ちには全然なれなかったんだけど、あれから年月が過ぎて、母の中でも少し気持ちに変化があったみたいです。これからはぱんなが新しい家族として実家を賑やかにしてくれそうな気がしてます。自分も予定つくっては実家に寄るようにしてぱんなとの関係を深めないといけないですね。ごくたまにやって来るオジサンから卒業していかないと(笑)。
みんなは、ペットとの思い出ってありますか? よかったら聞かせてください。
それでは、また次回。

プロフィール
桐山漣(きりやま・れん)
2013年に韓国『ソウルドラマアワード2013』ネチズン人気賞(JAPAN俳優部門1位)受賞。
主な出演作は、映画『群青色の、とおり道』(佐々部清監督)『新宿スワンII』(園子温監督)『曇天に笑う』(本広克行監督)『貞子』(中田秀夫監督)をはじめ、ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(NTV)、『これは経費で落ちません!』『いいね!光源氏くん』『おじさんはカワイイものがお好き。』『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』(読売テレビ/NTV系)キラ役でネットを騒がせる。以降、『白い濁流』(NHK-BS)、『おいハンサム!!』(CX)・『カナカナ』(NHK)CX『テッパチ!』など幅広い役を演じ分ける。
撮影/友野雄、動画撮影/宮園妙、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/江夏智也