現在、日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)に若手検事・菊池大輝役で出演中の幸輝くん。初の日曜劇場に挑む幸輝くんを「こきぴあ」では3回にわたって特集します。
まずは、『アンチヒーロー』で監督を務める宮崎陽平さんとの対談をお届け。宮崎さんと一緒に作品をつくるのは、『君の花になる』(TBS系)以来2度目。良き兄貴分から見た山下幸輝とは……?
幸輝は自分の信念があって、芯がぶれない
── 2人の出会いを聞かせください。
宮崎 『君の花になる』ですね。最初に会ったのは衣裳合わせのときかな。そこで挨拶して。
山下 そうでしたね。
宮崎 そこからダンス練習とか撮影で顔を合わせて。5話が(山下演じる)宝の活躍する回で、僕が監督だったんで、「そこに向けて頑張ろう」という話をして。同じ関西出身ですし共通点が結構あって、いろいろ話すようになったという感じです。覚えてるのが、ダンス練習の帰りに2人でうどん屋に行ったんですよ。
山下 めっちゃ覚えてる!
宮崎 そこで話をしたときに、見た目は柔らかそうなのに「めっちゃ信念強いんだな」と思って。その印象は今もずっとあります。幸輝は自分の信念があって、芯がぶれない。決して口数が多い方ではなくて。8LOOM全員でのバラエティトークのときも、大丈夫かなと心配になったりもしたんですけど、その分、口を開くときはいつも思いのこもったことを言ってくれるから、そういう思いの強さがお芝居に出ればいいなと。
山下 陽平さんは普段からこんな感じの明るい人で。おかげで僕もすぐ砕けて話せたというか。
宮崎 『君花』が初の連ドラやんね。
山下 初です。
宮崎 だから、硬くならずになるべくナチュラルな感じでいてくれるといいなと思って素と同じ関西弁のキャラになったような覚えが。あとは笑顔が素敵なので、ふとした時の笑顔がどう見えるかというのは常に探っていた気がします。
山下 ほんまですか。陽平さんとの思い出ですごく残っているのは、やっぱり5話。弾が宝のノートを見つけて、二人で喋るシーンがあったんですけど。撮影前にめちゃくちゃリハして。
宮崎 (高橋)文哉も一緒にやってくれて、撮影前に3人で合わせられたのがとても助かりました。そこで結構シリアスめに作りすぎたのを当日直したり……っていうのも良い思い出です。
山下 陽平さんはいつも「大丈夫、大丈夫」「行けるよ」と言ってくださるんですよ。当時の僕は、撮影とはなんぞやというところからのスタートで、本当に何もわからないゼロの状態だったんですけど、そんな僕に「行けるよ」「頑張ろう」と声をかけてくれた。それがすごく心強かったです。
萬斎さんは、目で目潰されるくらい目力がある
── そして今回、『アンチヒーロー』で再び現場を共にすることになりました。
宮崎 びっくりしたのが、『君花』のクランクアップのとき、幸輝からすごい笑顔で「陽平さんとはすぐまた仕事すると思います!」と言われたんですよ。まだ何も決まってないのに、力強く宣言されて、そしたら本当にまた一緒にやることになった。予知能力というか、思いの強さと有言実行力が凄いと思いましたね(笑)。
山下 絶対またやりたいと思ってたんで。その気持ちを伝えようと思って伝えました。
宮崎 しかも今回は笑顔ほぼなし、ダンスなし、関西弁なし。幸輝の得意なことを全部封じられているような役。むずいよね?
山下 むずいですね。
宮崎 今までやってきたキャラとは全然違うけど、どうしてるん?
山下 まずはとにかくまっすぐ立つということを心がけています。
宮崎 姿勢ね。衣装合わせのときも、なるべく大人に見えるようにしようと。今回、検察側の色が青に統一されているんですよ。だからスーツも青にして。ネクタイも柄によっては学生っぽく見えるから、ちゃんと大人っぽく見えるものを皆で選びました。
山下 髪型もおでこを出そうということになって。
宮崎 そうそう。そのときはまだ金髪やったね。
山下 でしたね。
宮崎 5話の撮影のときも、黒く染めたけど染めきれてなくて、光の加減でどうしても茶髪に見えるときがあって。新橋の駅前で黒染めスプレーをしてました(笑)。
山下 やりました(笑)。あと、(クランク)インが3話で、そこで初台詞があったんですけど。
宮崎 あそこは悩んでましたね。まだ菊池がどれくらい真面目か定まりきってなくて。しかも話している相手は、上司である緑川。どこまで自分の正義感を貫くか塩梅が難しくて。(メイン監督である田中)健太さんと相談したり。幸輝もまだ硬かったんで、「もうちょっとこうした方がいいのでは?」と話し合いながらつくりました。
山下 (緑川演じる)木村(佳乃)さんとも初めてで。まだ探り探りでした。
── 今回は、野村萬斎さん、木村佳乃さんという大先輩に囲まれてのお芝居です。
宮崎 どう? 大変?
山下 今まで感じたことのない空気感で、ついていくのにはちょっと時間がかかりました。けど今はすごく慣れたというか、何て言うのかな、一緒にやってる感があるなって自分の中では感じています。
── 大先輩たちの空気にどう馴染んでいったんですか。
山下 先輩方のおかげですね。みなさん、すごくチャーミングなんですよ。
宮崎 優しいよね。
山下 優しいです。緊張している僕に、木村さんの方から「ダンス得意なんだよね」と話しかけてくださったり。
宮崎 「踊ってください!」って言われてた!(笑)。
山下 萬斎さんはオーラがすごい。そのオーラが芝居にめちゃくちゃ乗ってるんです。だから、喋ってなくても、目で目潰されるくらい目力がある。
宮崎 目で目潰される(笑)。
山下 それくらい迫力があるんです。その横に立ってるのが菊池やから。
宮崎 目で戦いにいってるんや。
山下 そうですね。(目に力を入れて)僕ずっと目やってます(笑)。
宮崎 幸輝のファンのみなさんは出番がまだ少なくて、少し寂しい思いをしていると思うんですけど、ここからが活躍するところなので。菊池もこの壮大な物語の大事なワンピースを担っています。僕の監督する第8話で大事なシーンがあって、撮影はこれからなんですけど、そこに向けてどうしていくか、ここから一緒につくっていきたいなという段階です。
山下 楽しみです!
宮崎 これだけ大人の俳優の方々に囲まれるのはプレッシャーもあると思うんです。でも、幸輝はいっぱい吸収する人なんで、きっと今も先輩たちの演技を見て、いろんなことを吸収していってると思います。その出しどころをどうつくっていくかが僕達の役目だし。きっとこの『アンチヒーロー』だけじゃなく、別の作品でも萬斎さんや佳乃さんを見て学んだことを出せる機会はあると思うので、どこかでそれがちらっとでも見られたらいいなと思う。
山下 今日の撮影は、ほとんど萬斎さんの長台詞だったんですけど、近くで見ていてすごいなと思いました。
宮崎 すごいよね。ああいう長い説明台詞をわかりやすく、しかも感情を思い切り乗せて喋ってる幸輝の姿もいつか見たいなと思う。自分よりずっと経験のある先輩と堂々と渡り合わないといけない場面というのは、今後もどこかで必ずまたやってくると思うんですよ。そのときに、ここでやってきたことが幸輝の何かの引き出しになっていたらうれしいし、そんな幸輝の姿を見守っていきたいです。努力家なんで心配はいらない。きっと大丈夫です!
── では最後に。もしいつかまた一緒にやるとしたら、今度はどんな作品でどんな役がやりたいですか。
宮崎 笑顔の明るい優しいキャラよりは、過去を背負ってる系の役がいいですね。深みのある役を演じてる幸輝を見てみたいです。
山下 めっちゃやりたいです。
宮崎 悩むやろうけど、ぜひ挑戦してほしい。
山下 僕はファンタジーがやりたいですね。
宮崎 ファンタジー? たとえばどんな?
山下 『スターウォーズ』みたいな。陽平さんも『スターウォーズ』好きじゃないですか。
宮崎 そこですごい盛り上がったね!(笑)
── 『スターウォーズ』なら何の役がやりたいですか。
宮崎 R2-D2?(笑)
山下 ロボットですか(笑)。やっぱりアナキン・スカイウォーカーですね。闇堕ちする役がやりたい!
宮崎 ダース・ベイダーになるんか。いいな、見てみたい!でも、R2-D2も、見たい。
山下 ええ!(笑)
次回は、『アンチヒーロー』の撮影現場をレポートします。更新は6月6日(木)を予定。どうぞお楽しみに!
編集部より
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プロフィール
山下幸輝(やました こうき)
2001年11月7日、大阪府生まれ。B型。
2020 年の第33回ジュノンボーイ・コンテスト、ファイナリストとなり俳優デビュー。’22年のドラマ『君の花になる』で注目を集める。’23年は、ドラマ『ガチ恋粘着獣』『最高の生徒~余命1年のラストダンス~』などに出演。’24年はドラマ『夫婦の秘密』『高額当選しちゃいました』に出演。主演映画『マンガ家、堀マモル』が8 月に公開予定。
撮影/杉映貴子、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹