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『ハゲタカ』内閣総理大臣さえも動かす鷲津の超人ぶり 20年来の戦いはいよいよ最終局面へ

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リアルサウンド

 木曜ドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日系)が、第6話にて第2章完結を迎えた。

 三葉銀行との戦いを描いた第1章の熱を帯びたまま突入した第2章は、PCメイカー、ファインTDの社長・滝本誠一郎(高嶋政伸)との戦い。第5話では、鷲津(綾野剛)率いるサムライファンドが総合電機メーカーあけぼのに対して、TOBを発動する。あけぼのとの統合に向けて動いていたファインTDが黙っているはずもなく、構図は「サムライファンド VS ファインTD」という形になる。

 『ハゲタカ』は、怒涛の大どんでん返しとなるストーリー展開が魅力の一つであるが、鷲津や滝本といった個性的なキャラのド派手な演出、台詞も強烈なインパクトを放っている。鷲津の「私はまだ生きている」を筆頭に、名台詞も確立されており、回を重ねるごとに「これが天井なのではないか?」というようなインフレ状態に入りそうだが、中だるみせず、しっかりと前回を越えていくところがこの『ハゲタカ』の人気たる所以だろう。

 第6話冒頭、滝本が土下座して待つ和室のふすまを開ける鷲津。目を合わせるのを避けるためか、右半身のみを出して、“半分、鷲津。”と言わんばかりの登場だ。滝本の土下座の目的は、鷲津にTOBから降りてもらうこと。10億を現金で用意するという信じがたい条件を突きつけるが、それは滝本のフェイク。置いてあった鞄から隠しカメラを見つけ、金に飛びつく姿を撮ろうとしていたことを見破った鷲津に、滝本は「チッ!」と舌打ちをしながら、貪欲な本性を見せる。しかし、滝本は金のため、「今ここで足をなめろと言うなら、なめてやる!」と泣きまねをしながら鷲津の足にすがりついて見せるのだ。プライドや信念など二の次、金が欲しくてたまらないと豪語する滝本は、札束を撒き散らしながら高笑い。両腕をポケットに入れ、仁王立ちする鷲津は「滝本社長。愉快な余興をありがとうございます。では!」と、まるで視聴者の心を代弁するかのような台詞で、タイトルバックへ。とんでもない高カロリーで始まるこのオープニングが、第6話が最高潮の盛り上がりを見せることへの合図のようでもある。

 第6話のハイライトと呼べるシーンはいくつかあるが、その一つが内閣総理大臣・望月康夫(角野卓造)を脅迫する場面だろう。ファインTDのバックにいるアメリカの軍需産業ファンド、プラザ・グループがあけぼのにTOBを仕掛けたことに対して、鷲津は総理に働きかける。机を勢い良く叩きつけた鷲津は、総理が過去に闇献金を受けた企業のリストを突きつけ、政府からプラザ・グループのTOBを非難する声明を発表してほしいと交渉する。内閣総理大臣に取引を持ち込むという、浮世離れしたストーリーには唖然とさせられたが、「ビジネスですから」の一言と眼力で納得させてしまう鷲津の凄みはすでに超人のものである。

 情報収集と迅速な行動により、鷲津はプラザの不正に関するデータを掴み、実質TOBに勝利する。その後、鷲津は滝本にファインTDへのTOBを宣言。そして、「あなたは貪欲で優秀な経営者だ。その姿勢を貫けば100年後もファインは生きている。その頃には、ファインも老舗と呼ばれる企業になっているでしょう」と餞別の言葉を贈る。第6話では、松平貴子(沢尻エリカ)が自身の日光みやびホテルに関して、「たとえ持ち主が変わっても、必ず守り抜いてみせます」と鷲津に誓い、あけぼのの会長を退く新見(竜雷太)には、鷲津が「お疲れ様でした!」と別れを告げる場面があった。会社経営を続けるためには、貫き通すべき信念を持ち、時には若い世代が受け継ぐ、スクラップ&ビルドが必要であることを感じさせる。余談だが、「私はまだ生きている」という名台詞に続き、「では!」と言って颯爽と立ち去る鷲津の姿も作品内に定着しつつある。

 第7話、最終章の舞台は2018年。20年来の因縁の相手である「鷲津 VS 飯島(小林薫)」というカードで、最終局面へ。鷲津のサムライファンド辞任宣言、ガラス机がバキバキに割れるほどの強さで叩き怒りを見せる鷲津。最終章においても、さらなる盛り上がりを見せてくれそうだ。(文=渡辺彰浩)