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ムロツヨシの揺るぎない価値観 『病室で念仏を唱えないでください』で説いた「両忘」という禅

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 濱田(ムロツヨシ)の医療へのポリシーが明らかになった『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系)の第8話。ついに濱田の野望であった小児ハートセンターの設立に王手がかかる。

 救急に運ばれてきた生活保護の患者に不要なペースメーカーが埋め込まれていたことで、松本(伊藤英明)と三宅(中谷美紀)、児嶋(松本穂香)は患者のカルテを調べる。すると、担当の医師はあおば台病院の心臓血管外科の田沼(前田公輝)であることが発覚した。田沼はペースメーカーの会社から金をもらい、指定されたペースメーカーを使用していた。

【写真】『大恋愛』のムロツヨシ

 この不正を知った濱田は、田沼の罪に一度は目を瞑る。濱田にはこのあと、心臓外科学会理事長・大貫(きたろう)の孫である美咲(中野翠咲)の重要な手術が控えていたからだ。田沼は手技は優秀な医者である。美咲の手術時に濱田をサポートさせるため、濱田は田沼の不正を許していたのだ。しかし一転、手術が無事終わると、濱田は田沼をあおば台病院から辞職させる。濱田にとって、小児ハートセンター設立のために、今のあおば台病院では一切の不正が許されない。濱田はこの件をもみ消し、田沼を追放するのであった。

 一方、憲次(泉谷しげる)は松本の働きかけで治療に前向きになり、治験薬を試す方針で治療を進めることを決意。治療の方針を決める際に松本は「両忘」という禅の言葉を説く。白か黒か、良いことか悪いことか、どちらか一方を選ぶのではなく、両方を忘れて、無我の境地を志向することだと言う。

 第8話では、2つの選択肢や相反するものに対して、どちらかを選ばないという考え方が描かれる。濱田の作ったパンダの編みぐるみと共に白や黒、それを象徴したパンダやカレーが登場し、答えを出すことと出さないことについてが語られた。濱田はせせこましい悪事を働く田沼に「医者は金でも法でも正義でもない、命の奴隷だ」と吐き捨て、自身がより多くの命を救うためなら悪にでも手を染めるという価値観をあらわにした。

 さらに、松本が田沼の行った不正を告発しないように、約束まで取り付ける。しかし、やっていることは一見“悪”だが、濱田の真の目的は小児ハートセンターの設立だ。その目的は多くの幼い命を救い、より豊かな医療を提供できる場を作るためでもある。濱田の腹の底は本当に黒いのか、はたまた誰よりもピュアでクリーンな存在なのか。今回の“シロクロつける”テーマは濱田そのものへの疑問を象徴しているようにも見えた。

 さらに今回は、子供を救う場面が多かったように思う。未来ある子供たちが、濱田の目的達成の鍵を握る存在であることが印象的だ。濱田の胸に残る手術痕とも重なり、濱田にとって子供の心臓手術や、子供の命を救うことは他の患者とはまた違う思い入れがあると見受けられる。次週、美咲の容態が急変することが予告で明らかになっている。やっと念願の小児ハートセンターが手に入りかかった矢先、濱田には大きな試練が訪れる。

(Nana Numoto)