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『スカーレット』戸田恵梨香「短いなぁ……短すぎるわ」 涙なしには見られない喜美子の慟哭

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リアルサウンド

 『スカーレット』(NHK総合)第22週「いとおしい時間」では、武志(伊藤健太郎)の病名が大崎(稲垣吾郎)から喜美子(戸田恵梨香)へと告げられる。

参考:稲垣吾郎、約30年ぶりの朝ドラ出演への思いを語る「新たな地図を広げていくことができたら」

 病名は慢性骨髄性白血病。始めは緩やかに慢性期を経て、薬を飲みながら移行期に、そこからは急激に進行し死に至る難儀な病気だ。骨髄移植をすれば助かる可能性があるが、親子がドナーになることができるのは1%未満という奇跡のような確率。そして、慢性期から急激に進行するまでの期間は3年から5年。それはそのまま武志の余命となる。

 「短いなぁ……短すぎるわ」。大崎の説明を受け止められずにいる喜美子。この時の年代は昭和58年(1983年)と、まだまだ白血病という病気が知られていない時代。3月6日に『あさイチ』の「プレミアムトーク」に出演した戸田恵梨香は、そのことに触れながら、「ヒリヒリ感。お互いの緊張感がすごかったですね」と稲垣吾郎との共演シーンを振り返る。一方の稲垣も「これは朝ドラじゃないよ。非常にデリケートなシーン」と話している通りに、『スカーレット』における最もシリアスな第22週「涙のち晴れ」での八郎(松下洸平)が家を出ていく場面にも匹敵する、張り詰めた空気が流れる。

 「患者さんに本当のことを伝えたいと思っています。病と向き合う力は治療にも必要です」と武志に生きてほしいと病名を伝えることを勧める大崎に、喜美子の返事は「考えさせてください」。大崎は脚本を務める水橋文美江が稲垣を当て書きした部分もある役だというが、動揺する喜美子に親身に向き合う姿は、稲垣のイメージそのままでもある。

 診察結果の用紙をじっと見つめ、母屋で悩む喜美子のもとにやってくるのが照子(大島優子)だ。武志の体調が良くないことを知っていた照子は県立病院に連れていくことを勧めるが、喜美子は「うん。うん」と素っ気ない返事を続けるだけ。やはり姉妹なのだろう。鮫島(正門良規)に捨てられたことを知られたくない直子(桜庭ななみ)と似て、嘘が下手くそである。「なんであの子が病気に……うそや。なんで武志が」。行き場のない怒りをぶつける喜美子に、それを受け止める照子。これが長年一緒に過ごしてきた幼なじみだからこその、照子ができる喜美子の仕事を応援することでもある。

 武志にはまだ病名は伝えられていないが、喜美子が一人で診察室に入っていくのを目撃するシーンや、八郎の「時間なんかいっぱいあるで」という言葉に複雑な表情を浮かべている。戸田は『あさイチ』にて、第23週「揺るぎない強さ」からの展開を「息子の武志と向き合っていく物語になっていきます」と話していた。次世代展に応募した武志にとっての亜鉛結晶の次の夢、真奈(松田るか)が抱く武志への思い。

 思い出すのは、喜美子が陶芸教室の生徒を迎える上で言っていた「お互いの人生を豊かにし合える時間にできたらええなあと思う」という言葉、そして『スカーレット』の物語をそのまま表すセリフ「誰かの人生を思うことによって、自分の人生も豊かになる」だ。第23週では武志の病気と向き合う、母親としての喜美子の強さが見えてくるだろう。(渡辺彰浩)