吉高由里子×柄本佑、最後の口づけは切ない結果に 『知らなくていいコト』“正解のない”最終回
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吉高由里子が主演を務める『知らなくていいコト』(日本テレビ系)が、3月11日に最終話を迎えた。
ケイト(吉高由里子)の父親がかつて世間を騒がせた殺人犯・乃十阿徹(小林薫)かもしれない。そんな衝撃的なスクープから幕を開けた『知らなくていいコト』は、乃十阿は無実だったという真実にて幕を下ろすこととなる。ケイト自身が書いた幻の記事を見る乃十阿。「ケイトが思う乃十阿徹の真実」と小見出しが付けられた記事の最後を締めくくるのはこんな内容だ。
「最後まで乃十阿は真壁ケイトを娘だと認めなかった。本妻の息子の罪を被り、学者としての将来も、人生も捨てて息子を守り。その後、乃十阿はケイトがどんなに聞いても、ケイトを自分の子だと認めなかった。それは、ケイトを殺人犯の子供にしたくなかったからだろう。認めないということで、乃十阿はケイトも守ったと言える。この世には『知らなくていいコト』がある。乃十阿は、そう考えているに違いない」
乃十阿が守ったのはケイトではなく本妻の息子の方。ケイトはそう思い込んでいたが、泣きながら記事を書いているうちに、乃十阿の心情へと辿りつく。記事を読んだ乃十阿はゲラを焚き火の中へ。それが全ての罪を被ることを決めた乃十阿の、ケイトに対する無言のメッセージでもあった。
一度は記事を書くことを拒んでいたケイトが真実と向き合うことを決めたのは、尾高(柄本佑)の後押しがあったからだ。「命を削って真実に突き進んでいくケイトが好きなんだ。結婚しよう」。妻との離婚、子供のことも話し合ってきたという尾高に、ケイトは「死ぬほど好き。全部が好き。一緒に生きていきたい」と気持ちを伝えながら、「子供を見捨てないでほしい」と自分と同じ思いをする子供を作ること、そして尾高が親としての心を失うことが嫌だと話す。
「俺と一緒になってくれよ。2回も俺のこと振るなよ、ケイト」。夕陽に照らされるスタジオで、最後の口づけを交わす2人。車中でのキス、コーヒーメーカー裏のキス、「踏みとどまろう」からの熱烈なキス……最後は別れを惜しむ切ないキスとなってしまった。結局、ケイトにもフラれ、妻とも別れ、子供も育てることになった尾高。「タイミングは合わないかもしれないけど、お前たちは運命の2人だと思ったんだけどなぁ」という岩谷(佐々木蔵之介)の言葉がケイトと尾高をよく表している。
回を追うごとに重岡大毅の怪演が際立っていった野中は、岩谷に退職届を提出。それをスパッと受け取る岩谷、さらに乃十阿が殺人犯ではなかったことを聞き、野中は気が動転。逆上しながらも「小説家になりますので! その時はどうかよろしくお願いします! さようなら! アハハハハ!」と編集部を去っていく姿は、まるで“ジョーカー”を見ているかの狂いっぷりだ。その宣言通り、2023年の未来で“闇落ち”と描かれたTシャツを着て、テレビに出る作家の野中先生。ドラマ公式にも“クズ男”、“闇落ち”と認められ、最終回までヒール役を演じきった重岡大毅は、“尾高さん”こと柄本佑と並び、視聴者を釘つけにした男の一人だった。
そして、ラストは2023年、ケイトが大きくなった子供の手を握り仲良く尾高を見つける。声をかけることなく背中合わせに分かれる2人。人が選ぶ人生の生き方も、不倫愛の行方も、正しい答えはない。乃十阿が心の中に沈めた思い、ケイトが取った選択、尾高が決断した生き方も、それぞれが正解だと言い聞かせながら、これからを歩み続けていくしかない。それは私たち視聴者も同じだ。ドラマのようには上手くいかない。このモヤっとしたリアルな心情が、『知らなくていいコト』が伝えるメッセージのように思えた。(渡辺彰浩)