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清原翔が『アライブ』で体現した普遍的なテーマ 最終回直前の重要なエピソードに

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リアルサウンド

 腫瘍内科での研修をまもなく終える結城(清原翔)は、いずれ家族が経営する病院を継ぐべきかどうか悩み、薫(木村佳乃)に相談する。すると薫はこう答える。「行くべきかどうかじゃなく、行きたいかどうかで考えてみれば?」と。3月12日に放送されたフジテレビ系列木曜ドラマ『アライブ がん専門医のカルテ』第10話は、結城の将来の悩みを軸に、多くの登場人物が“なりたいものになる”ことを目指すエピソードとなった。このテーマは、医師や患者、その家族はもちろん、すべての人に共通した普遍的なテーマといえるだろう。

参考:ほか場面写真多数

 膵臓がん患者の佐伯芳雄(相島一之)の弟・隼人(丸山智巳)は、難易度の高い手術を腕の良い医師がいる有馬総合病院で受けさせたいと転院を申し出る。進行が速く、できるだけ早めの手術が必要と考えながらも、患者の家族の意志を尊重しようとする心(松下奈緒)たち。しかしそんな折、有馬総合病院の理事である結城(とよた真帆)が、佐伯に断りを告げるために横浜みなと総合病院にやってくる。彼女は佐伯への謝罪と同時に、息子である結城の職場を見に来たのだというのだ。

 結城が医師家系のエリートであるというバックグラウンドを有していることは、以前に佐倉(小川紗良)との会話の中で語られていた。それをより具体的に描き出したのが今回のエピソードというわけで、そう考えると、比較的大きな波が訪れやすい最終回直前のエピソードとしては至ってシンプルなストーリーにも思える。しかし家庭内の微妙な不和の中で将来を模索し決断する結城の姿と、がん医療センターから声がかかり横浜みなと総合病院を離れる選択をしなくてはならなくなる心など、他の登場人物たちそれぞれの物語が絶妙に絡み合っていくのだから、非常に重要な意味を持つエピソードであると捉えることができる。

 結城と同様に腫瘍内科での研修を間もなく終え、小児科を志望しながらも腫瘍内科の意義を再認識する夏樹(岡崎紗絵)や、ピアサポーターを目指すということを宣言する佐倉、さらには心の息子・漣(桑名愛斗)も京太郎(北大路欣也)のように脚本家になると言い出すなど、ほとんどの登場人物が一気に未来へと視点を据えていく。さらには自分の人生を犠牲にして親の介護をやってきた佐伯を何としても救いたいと願う弟の想いも然り。これはまさに、これまでのエピソードで高坂(高畑淳子)を通して描かれてきた、自分のやりたいことをやって“人生を楽しむ”という希望に満ちた考え方が、このドラマが提示したい最も重要なテーマであることを表しているかのようだ。

 そうした中で、薫の乳がん手術から5年を迎える記念日に一緒に食事に出掛けた心は、そこで薫のがんが再発したことを知らされる。「一緒に戦ってほしい」と心に告げる薫。がんとの共生や、悲しみと向き合って受け入れながら生きることなど幾多のテーマを丁寧に描いてきたこのドラマだけに、そのクライマックスは希望に満ちたものであってほしいと願わずにはいられない。 (文=久保田和馬)