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松坂桃李、菅田将暉、中村倫也 日本のエンタメ界を牽引する「トップコート」トリオの存在感

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リアルサウンド

 すべての物事の消費サイクル速度が上がっているいま、エンタメ界でもその流れは同じであり、映画やドラマを支えるスターたちの顔も目まぐるしく入れ替わっている。そんななかにあって、人気と実力を兼ね備えた若手演技派として存在感を示しているのが、松坂桃李、菅田将暉、中村倫也の「トップコート」3人衆だ。

【写真】松坂桃李撮り下ろしカット

 なかでも松坂桃李は、先日行われた第43回日本アカデミー賞で『新聞記者』での演技が認められ、最優秀主演男優賞を受賞。昨年の『孤狼の血』での最優秀助演男優賞に続く受賞を果たし、昨年の涙のスピーチから、今年は堂々たる主演俳優としてのスピーチを行って話題を集めた。

 松坂は、フラットな空気を保ったままに、剛柔どんな役にでもなりきって見せる役者だ。2008年に芸能活動を開始し、翌年2009年に『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日系)のシンケンレッドで俳優デビューを飾った松坂は現在31歳。映画『ツナグ』やNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』などの好演で着実にキャリアを重ねた。その後も本人の好青年なイメージは変わらぬまま、役者としては挑戦的な役に挑んでいく。『劇場版 MOZU』『彼女がその名を知らない鳥たち』、そして衝撃を与えた娼夫役『娼年』と立て続けにイメージを覆すキャラクターを演じて、演技の幅の広さを見せつけていく。

 前述の『新聞記者』では鬼気迫る演技を見せ、特にラストシーンでの得も言われぬ表情を観る者の脳裏に焼き付けた。今年はジブリアニメ『耳をすませば』の実写版で清野菜名とW主演を務めることが発表されており、早くから賛否を集める注目作となっているが、松坂の武器のひとつでもある声の魅力をうまく生かした柔らかな作品になってくれるのではと期待している。

 その松坂とは共演作も多い菅田将暉は現在27歳。2009年に『仮面ライダーW』(テレビ朝日系)で桐山漣とのW主演により俳優デビューを果たしたが、彼の存在を知らしめたのは2013年に主演した『共喰い』だろう。狂気が似合う役者・菅田の片りんがはっきりと見てとれる。菅田には、菅田という個性を打ち出したうえで、役に染まって見せる強さがある。

 女装を披露した『海月姫』、ドラマ『民王』(テレビ朝日系)、アーティスト菅田へと繋がっていった『キセキ ーあの日のソビトー』、振り切れ具合が気持ちいい『帝一の國』など、バラエティに富んだ作品に出演を続けてきた菅田。近年も、趣里とのヒリヒリする距離感で引き付けた『生きてるだけで、愛。』、ブームとなったドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)など、菅田将暉ここにありといった演技を披露している。今年は実に3本の主演映画『糸』『花束みたいな恋をした』『キネマの神様』の公開が発表されており、絶好調だ。

 2005年のデビューと、3人の中ではもっともキャリアの長い中村倫也は、遅咲きの実力派である。現在33歳だが、年齢不詳な魅力がある。妻夫木聡、満島ひかり共演の『愚行録』ではひと作品のなかで、現在と、過去パートの学生時代を演じ、実年齢よりはるかに若い学生時代に全く違和感を抱かせなかった。

 全国的に知名度が上がったのは2018年のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』だが、いわゆるカメレオン俳優と呼ばれることが多く、ドラマ『闇金ウシジマくん Season3』(MBS/TBS)での相手を洗脳する男、ダイワハウスのCMでの年下男子、『孤狼の血』でのヤクザ、女性視聴者を骨抜きにしたドラマ『凪のお暇』(TBS系)のゴンと、それぞれに全く違った顔を見せる。また公開中の映画『影裏』ではピンポイントの出演ながら、印象を残している。

 公開待機中の主演映画『水曜日が消えた』では、曜日ごとに人格が異なる解離性同一性障害の青年を演じており、中村の器用さを存分に堪能できそうだ。また、大泉洋主演、吉田大八監督の話題作『騙し絵の牙』や『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』の公開が発表されており、4月からは主演ドラマ『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)の放送が待つ。

 なんとなしに、月光のような優しさと冷たさを匂わせる松坂と、スポットライトのような鮮やかな光を思わせる菅田、そのときによって表情を変えながら掴むことのできない風のように舞う中村と、全く個性の違う3人。だが、しっかりした演技の素地があり、舞台での評価も高いことは共通している。松坂は何といってものちの映画版も話題を集めた『娼年』の舞台が鮮烈であり、菅田は昨年上演された『カリギュラ』で強烈な個性を発揮した。中村は最も多くの舞台に立っており、『RENT』『ライチ☆光クラブ』などミュージカル作品でも実力を発揮してきた。

 こうした「トップコート」の若手実力派として、同様に舞台でも磨きをかけている後輩が2017年から所属の新田真剣佑(23)だ。

 整った顔立ちは役を選びそうだが、『ちはやふる』シリーズの綿谷新やドラマ『同期のサクラ』(日本テレビ系)の木島葵など、その美形を封じる巧さを持っている。舞台では、新田が舞台に興味を持つきっかけとなった「地球ゴージャス」の、2018年の『ZEROTOPIA』に立ち、今年の『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』では主演を務め、その才能にさらなる磨きをかけている。また映画では待機作『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』がシリーズファンからも待望されている。このところ、ハリウッドへの挑戦を語る若手が多いが、ロサンゼルス出身で、見た目も身体能力も規格外の新田には、本人というより観客側からの、日本を飛び出して活躍してほしいとの声が多い。

 さらに杉野遥亮(24)や萩原利久が続く。杉野は2016年の俳優デビューの翌年に『キセキ ーあの日のソビトー』で映画デビュー。『兄に愛されすぎて困ってます』『あのコの、トリコ。』『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』と、さわやかな見た目を生かした作品が多いが、ドラマ『ミストレス~女たちの秘密~』(NHK総合)や『スカム』(MBS/TBS)など新たな挑戦もはじめており、今後はドラマ『ハケンの品格』第2シリーズ(日本テレビ系)、映画『水上のフライト』『東京リベンジャーズ』と新作がぞくぞく控える。

 21歳になったばかりの萩原は、子役出身で、トップコートには2013年より所属。ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)や山下美月とW主演した『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』(テレビ東京系)で人気を集め、現在『鈍色の箱の中で』(テレビ朝日)が放送中だ。

 「トップコート」を引っ張る松坂桃李、菅田将暉、中村倫也の3人は、全く違う個性を放ちつつ、みな芝居に対する熱を感じさせる。その背中を見て進む後輩たちとともに、エンタメ界を担っていくだろう。

※『L・DK』の「・」はハートマークが正式表記

(望月ふみ)