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BIGBANG G-DRAGON、“King of K-POP”としてシーンに起こした革命 強さと繊細さの両立がキーに

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リアルサウンド

 King of K-POP――。

 その功績からそんな異名を持つ、BIGBANGのリーダー、G-DRAGON。きっとここで言う“King”とは、すでにある玉座に腰をおろす人ではなく、自ら国を立ち上げた人を指しているのではないだろうか。G-DRAGONというアーティストの誕生は、ある種の革命だった。

(関連:BIGBANG G-DRAGON、SOL、D-LITE……グループと異なる個性をソロ活動でどう見せる?

■K-POPシーンの“新時代”を作ったセルフプロデュース力

 アーティストとプロデューサーがタッグを組んでいくのがK-POPの主流だった中で、G-DRAGONは自らプロデュースするという新たな風を吹かせた。今でこそ、メンバー自らが楽曲作りに携わることも珍しくなくなったが、それはG-DRAGONが切り拓いた道といっても過言ではない。中性的で美しい容姿と唯一無二の歌声。彼自身が持つ魅力はもちろんのこと、BIGBANGというモンスターグループのポテンシャルを、余すことなく表現していくということ。それはとてつもないプレッシャーと対峙することでもある。

 誰かに指示された言葉ではなく、自分の中から生まれる感度の高い歌詞。その言葉を伝えるのに最適なサウンド。その一貫した制作スタイルが、本質的なメッセージとなって聞き手に届くのだ。代表曲「FANTASTIC BABY」「BANG BANG BANG」は、そのイントロを聞いただけで、体がうずくような高揚感に包まれる人も少なくないはず。革命の旗を翻すG-DRAGONのもとに集まった群衆のごとく、ライブではその圧倒的なカリスマ性を見せつけるパフォーマンスにすっかり心酔してしまう。

 そのライブ演出も、もちろん自ら行なっていく。デビュー10周年のタイミングで制作されたドキュメンタリーフィルム『BIGBANG MADE』では、ステージ全体の構成はもちろんライトの明るさや位置に至るまで、細かく指摘していくメンバーの姿が映し出されていた。大勢いるスタッフとのコミュニケーションがうまくいかずに、ナーバスな空気が漂うことも。そこでG-DRAGONがとった行動は「とりあえず全員ステージに集まって、ひとまずお疲れ様でした」と爆発しそうな気持ちを抑え、努めて冷静な対応だった。「大変な思いをしてチケットを買ってくれています。ファンの方に申し訳なくなるんです」というコメントが象徴しているように、彼はその高いカリスマ性に対して、驚くほど繊細だ。

■ソロ活動で見せる“クォン・ジヨン”としての一面
 徹底した作り込みも、そこに漂う一貫した美意識も、彼の繊細さ故に為せる技。ファッショニスタとして認識されて久しいが、彼の手がけるブランド「PEACEMINUSONE(ピースマイナスワン)」でも、その細部まで行き届いたコンセプトへのこだわりが見て取れる。ピースマークから1本取り除く(マイナス)と“GD”が見えてくるという、発見のあるロゴ。花びらが1枚欠けたデイジーは、ロゴ同様に8時の方向を指す。1988年8月18日の誕生日、2006年8月のデビューと“8”に縁があること。そして、デイジーの花言葉は“平和“……といった具合に。一つひとつのものづくりに一貫性がある。

 その一貫したポリシーを持ちながら、新しいことに挑戦していく。ソロアルバムをUSBでリリースしたのもシーンに衝撃を与えた。自分の感性を信じて貫く強さと、そこで表現されるものの繊細さ。その両立は、彼の中にある“G-DRAGON”というイメージと、生まれ持った“クォン・ジヨン”の二面性でもある。兵役に就く前の最後のソロツアー『2017 WORLD TOUR <ACT Ⅲ, M.O.T.T.E>』にカメラが密着したドキュメンタリーでは、G-DRAGON自身がこうつぶやいていた。「G-DRAGONのイメージは都会的で、ジヨンは田舎に住む子です。僕にとっては。G-DRAGONとはそれをカバーするために作られたイメージです」。

 ステージの上では雄々しいラップを見せたと思いきや、トーク番組になると端のほうで静かに微笑む。クールな素振りを見せて、純粋に笑う。社交的に見えて、人見知り……。強くあろうとする自分と、もともと持つ思慮深い自分と。その両面を表現に落とし込めるからこそ、G-DRAGONの放つ作品は私たちを魅了してやまない。強くありたいときも、弱ってしまったときにも、寄り添う音楽を、ファッションを、空間を、時間を、プロデュースしてくれる。そんな“King of K-POP”が、ついに今年カムバックする。G-DRAGONが見せてくれる、新しい世界に熱狂する日がすぐそこまで来ている、そう思うとやはり体がうずいて仕方ない。(佐藤結衣)