Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > “考察班”生み出す『シロクロ』『あな番』『3年A組』 日テレ日曜ドラマ枠はSNS時代を攻略!?

“考察班”生み出す『シロクロ』『あな番』『3年A組』 日テレ日曜ドラマ枠はSNS時代を攻略!?

映画

ニュース

リアルサウンド

 『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』『あなたの番です』『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』……これらのドラマは、放送回ごとに、SNS上での“考察”が盛り上がりを見せていた日本テレビの日曜ドラマである。

【写真】清野菜名を抱き寄せる、横浜流星

 日本テレビの日曜ドラマは、SNS時代を生きる視聴者をうまく捉えている。これまでのテレビ番組を評価していたのは「視聴率」だった。しかし、ソーシャルメディアやオンデマンド配信の普及により、SNSに投稿しながら鑑賞する「ソーシャル視聴」や「録画視聴」の影響が大きくなり、リアルタイムの視聴率だけではドラマの人気を測れなくなりつつある。「日テレ日曜22時半枠」はそんなSNS時代の今を汲んでいるのだ。

■『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』

 菅田将暉演じる高校教師・柊一颯が、卒業10日前に生徒たちを監禁するサスペンス・学園ドラマ。本作は、「SNSとの関わり方」がテーマに盛り込まれていた。脚本の武藤将吾は「セリフで語らない」という脚本のセオリーをあえて破り、ストレートな台詞で若年層に訴えかけた。この方法は功を奏し、SNSへの関心が高い世代の心を捉えたようだ。

 柊一颯の真の目的が明らかになっていく展開に、作中に盛り込まれた“伏線探し”をする投稿や、SNSは一連の黒幕や次の展開への“考察”で盛り上がっていた。そして本作終了後には、「ネット上で発した言葉は時に凶器になる」というメッセージに「観ててすごく大切な授業だった」「悪口などを呟かないことを誓う」などのつぶやきが多数目に留まった。

■『あなたの番です』『あなたの番です-反撃編-』

 マンションに引っ越してきた年の差婚の新婚夫婦、手塚菜奈(原田知世)と手塚翔太(田中圭)が、住民会で行われた「交換殺人ゲーム」に巻き込まれる姿を描いたミステリードラマ。第1章では、キャッチコピー「毎週、死にます。」が示す通り、毎週ドラマ内の登場人物が殺害され、第1章最終回に主人公の一人・菜奈が殺された。その衝撃的な展開はSNS上で話題となり、放送終了後、Twitterに「菜奈」というワードがトレンド入りしていた。

 複雑な人間関係やクセの強いキャラクター、新たなキャラクターの登場などは視聴者の“考察”欲をくすぐった。何気ないシーンにも意味があるように感じさせる構成や急展開に、視聴者同士の“考察”や「深読み」が加わることで、元来の謎解き要素がより重厚なものになっていた。

■『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』

 本作は、賀来賢人演じる刑事・遊佐清春が、未解決事件を追い、巨悪に反乱を起こす刑事ドラマ。ハードボイルドなストーリー展開もさることながら、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』と世界観を共有していることでも話題になった。

 本作では、『3年A組』でも登場する架空のSNS「Mind Voice(マインドボイス)」がTwitter上に作られたことや、最終話では劇中の日時が放送日時と同じに設定されたことなど、視聴者が物語に埋没しやすくなるような工夫がなされていた。

 そして最終回のエンディングで“考察”は最高潮の盛り上がりを見せる。生死不明に終わった清春の姿に、SNS上では「撃たれた!! 死んだ!?」「清春は死んでしまったのかそれとも生きているのか」「最後が謎すぎる」など、さまざまなコメントが殺到。含みをもたせたラストが、最後の最後まで視聴者の心を捉え続けた。

■『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』

 本作は、驚異的な身体能力を持つ女・ミスパンダと彼女を操る男・飼育員さんが、 警察やマスコミが触れない“グレー”な事件に“シロクロ”つけるシニカルミステリードラマ。

 最凶バディが“グレー”な事件を大胆に暴くエンターテインメント性の高さも魅力的だが、物語には横浜流星演じる直輝の復讐に通ずるさまざまな謎が散りばめられ、SNS上は直輝の父の死の真相や清野菜名演じる“レン”の壮絶な過去への“考察”で盛り上がっていた。

 3月15日に最終回を迎える本作。直輝が全ての復讐を終え、謎解き要素は片づいたようだが、予告編で映し出された屋上に立つ直輝の姿に、直輝とレン(リコ)がどうなってしまうのかを思う声があがっている。

 視聴方法が多様化した昨今、脚本・演出で人を惹きつけるだけでなく、SNSやYouTubeといった新しいメディアを活用する方法が、今後のドラマには求められるはずだ。むしろ今は、ソーシャルメディアをうまく活用してドラマの評判を世帯にも広げることが、リアルタイムの視聴率をあげる要因にも繋がっているとも言える。

 なお、SNSを覗いてみると「日曜ドラマ枠は必ず1人クレイジー枠がいる」という声や、物語の終わりで新たな謎を残す演出に「あの枠らしい終り方」を期待する声が上がっている。型や流れをつくり、視聴者の次の日曜ドラマ枠への期待を高めさせているのも、日本テレビの戦略かもしれない。

(片山香帆)