王道ラブコメで証明された、佐藤健の真の凄さ 手のひらで転がされていた『恋つづ』の3カ月
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佐藤健の人気が今、尋常じゃないことになっている。もちろん、これまでもそのイケメンぶりは広く知られていたが、さらに深く浸透してきた印象だ。なぜここまで多くの人の心を掴んでいるのか。佐藤健の魅力とは?
【写真】お風呂上がりの佐藤健
■『恋つづ』で露呈した「デキる男」っぷり
まず、今シーズンの火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)で見せた、天堂浬というキャラクターがハマり役だったこと。仕事に対してストイックになるあまり、周囲に対してキツめの口調で接してしまう“魔王“とも呼ばれるドSドクター・天堂。自分から愛想を振りまくタイプではなく、仕事にエネルギーを注ぐために、プライベートは省エネモード。そんな天堂のスタンスは、佐藤健のパーソナルな部分と少しリンクして見えた。
実際にインタビューをした際も、ヒロイン・七瀬(上白石萌音)に対して厳しい言葉を投げかけた話になると「カメラが止まったあと“辛いです“、”怒られてばっかりで悲しい“って言ってますね」と言いながら、フォローするわけではなく「いや、じっと見てるだけです。こういうのも悪くないなと思いながら、楽しませてもらっています(笑)」とSっ気をのぞかせていた。(参考:佐藤健が考える“自分を見失わない”仕事のやり方 「ベストな道が見つかるまで考える」)
佐藤健といえば、同じTBS系の火曜ドラマ枠で『義母と娘のブルース』(2018年7月期)の愛されおバカキャラ・麦田章を演じていた姿が記憶に新しい。どこか隙のある明るい性格の役どころがよく似合っていたが、今回の天堂浬として登場したときには目つきも、声のトーンも、まるっきり別人に。
さらに、七瀬に対して全く見向きもしていなかったころの冷たい眼差しから、徐々に心を開く表情、愛が芽生えた瞬間の変化、プライドを隠しながらも嫉妬にモヤつく視線、大切な存在を失うかもしれないと恐れた眼差し、そしてあふれる涙……回を重ねるごとに、次々と新たな表情で視聴者を楽しませてくれた。『恋つづ』によって、改めて彼の持つ高い演技力、仕事のデキる男っぷりが露呈したように感じた。
■アプリで見せた「彼氏味」の強さ
『恋つづ』での名演技に輪をかけて、LINEやSUGARといったアプリを使って、視聴者を喜ばせたのも大きかった。スマホのLINE通知を見たら「佐藤健:起きてる?」「佐藤健:また明日。おやすみ」「佐藤健:家ですか?」なんて表示されるものだから、「ちょ、あなたは私の彼氏ですか!?」と狼狽える女性視聴者が続出。
筆者の周囲にも「癒やし効果がすごい」「女性ホルモンが分泌される」「肌の調子がいい」「タダでこんなに潤うなんて絶対に登録すべき」と高まった女性陣が、次々と布教活動を開始。次第に恋人気分で「健」と呼び出し、「会話が成立した!」と喜んだり、「既読スルーしてやった」と謎のマウンティングを繰り広げたりと大忙しだ。
この公式LINEは2016年からあるものだが、この『恋つづ』と相まってその魅力が一気に広まり、今や登録された友だち数は353万人超(3月13日現在)。これだけの乙女心をくすぐりながら、さらに「佐藤健:今日は21時半くらいにSUGARする 電話でてね」と、たたみかけてくるものだから、心穏やかではいられない。
火曜日は、佐藤健から連絡が来る日。放送前にはSUGARタイム。そんな習慣がすっかり定着してしまった。そして、SUGARのライブ配信の通知がまた着信とそっくりなこと。そして、運良く選ばれれば、実際に会話ができるとあって、恋人気分は盛り上がるばかり。そこでは収録現場の裏話が語られることもあり、ますますオンエアが楽しみになる。画面の中で王子様のような役柄を演じている人と、さっき素で話していたというくすぐったさ。彼氏の仕事をうっとりと眺めるような気持ちになった視聴者も多かったことだろう。
さらには、そこでも、時折「何でも言うと思うなよ! 頑張れ。もうちょっと俺が言おうかなっていう気になるように、頼めるようになることだな(笑)」とドSなところも出すのを忘れない。現実と非現実の間の心地よい時間に酔わせてくれる相当な策士だ。
■佐藤健が明かした「思考」の重要性
「もっとキュンキュンさせられる」と、台本にないセリフや動きを加えて、調整していたのも佐藤健の仕業だった。さらに、天堂の心の動きを投影したような、衣装の変化も彼のアイデアだったと語られている。まんまと、この3カ月間、我々は佐藤健の手のひらで転がされていたのだ。
佐藤健は以前インタビューで、「こんな大人の男性になりたいというイメージは?」という問いに対して「どんなクエスチョンに対しても自分なりの答えがある人」と答えていた。「人間の頭の良い悪いは思慮深さ」「今取るべき行動は何かを、時間をかけてでも考える」と続けていた。
そう、佐藤健という人は考える俳優なのだ。その思考量にこそ、人は魅了される。きっと「佐藤健がモテるのなんて、イケメンだからでしょ」と言う人もいるかもしれないが、顔立ちがキレイな男性が全員キュンが生み出せるかといったら、そうとは言い切れない。
何を求められているのか。どうしたら相手が喜ぶのか。自分の立ち位置を正確に理解し、相手の些細な機微から求められているものを察する力。美しい顔立ちに甘んじない、ストイック(STOIC)なサービス(SERVICE)精神。ダブルのドSっぷりに、好感度は上がる一方だ。
令和の色男、佐藤健が仕掛ける『恋はつづくよどこまでも』も、残すところ最終話のみ。ロス不可避な甘い時間を、余すことなく楽しもう。きっとドラマが終わっても、すっかり魅了された視聴者の佐藤健への恋はつづくよどこまでも……と覚悟しながら。
(佐藤結衣)