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武志は傘を見て何を思うのか 『スカーレット』恋と向き合う時間

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 真奈(松田るか)のことを拒絶しながらも、どこか心にモヤモヤとした想いを抱える武志(伊藤健太郎)。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)の第141話は、武志が新たな作品作りに没頭する姿が描かれる。そんな武志を喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)はそっと支えて暮らすのであった。

 雨の降る夜、新しい作品作りに没頭する武志を工房の外から眺めているのは真奈だ。武志に拒絶されても、会いたいからと健気に武志の元を訪れる。武志は再度追い返そうとするが、思わず「病気やから」と会えない理由の本音を漏らす。真奈は咄嗟の武志の本心に、「病気やからウチと会うの避けるゆうのは納得できひん、そういうのは許可しません」と、また武志の元を訪れると語気を強める。

【写真】ロン毛時代の武志

 その日、真奈は傘を忘れて川原家を後にした。その後、喜美子が出張の間、八郎が武志の様子を見るために川原家を訪れる。工房で武志の作品に、八郎は「お父ちゃんができひんかったことをやれ、僕を超えて行け」と声をかける。だがその時、武志は発熱していた。慌てた八郎は部屋に連れ戻して、武志を寝かせる。武志が眺める窓の外には、真奈の忘れていった傘に、突然降り出した雨が溜まる。

 武志にとって、自身が病気で余命数年でありながら真奈と恋をするのは受け入れられないことだった。真面目で実直な武志だからこそ、真奈を傷つけまいと拒絶し、距離を取ろうとする。しかし真奈は、武志のことを諦めない。真奈には真奈の言い分があるのだ。2人の恋が幸せに進み、納得いくまで向き合う時間があれば、ついついそう願ってしまう。

 さらに作品作りでは、武志の作品のアイデアを見た八郎が“父として”も“陶芸家として”もアドバイスする。川原家は、家族の絆さえも陶芸を通して結んできた。時に陶芸がそれを邪魔することもあったが、作品と向き合いながら家族と向き合ってきた。武志にとって、こうして作品と向き合うことは、自身と向き合うこと、家族と向き合うこと、そして真奈と向き合うことでもあるのかもしれない。真奈の忘れていった傘を見て、武志は何を思うのか。

(Nana Numoto)