ラストアイドル、シングル『愛を知る』選抜バトルで見せた個々の力 阿部菜々実、長月翠、間島和奏らの熱戦を振り返る
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ラストアイドルの8thシングル『愛を知る』の発売まで1カ月を切り、徐々に盛り上がりを見せてきている。
(関連:ラストアイドル『大人サバイバー』、センター阿部菜々実インタビュー「自分にはアイドルしかない」)
昨年末にデビュー2周年を迎えたラストアイドルにとって、2019年はパフォーマンス力を大きく向上させた1年間だった。“歩く芸術”を大胆に振り付けに取り入れた「大人サバイバー」、“グループ史上最高難度のダンスパフォーマンス”をテーマにした「青春トレイン」の2曲は、彼女たちのダンスと精神力だけでなく、グループ自体の評価も高める結果となった。
今作「愛を知る」では、ラストアイドルとして初の選抜制を取り入れており、総勢41人が参加した立候補制のオーディションバトルで上位にランクインした18人が、選抜メンバーとして参加している。2019年の活動を考えれば、満を持しての選抜制とも言えるだろう。
高レベルな戦いかつドラマティックな展開となったのは、阿部菜々実と間島和奏だ。2人はファーストシーズンで初代センターの座を奪い合った仲。暫定センターだった間島に阿部が挑戦者として勝利し、以降はラストアイドルの絶対的センターとして、阿部が多くのシングルで単独センターの重圧を担ってきている。オーディションの幕開けは順番を決めるくじ引きの結果が、阿部が1番、間島がトリの41番という運命めいた始まりに。ダンス審査で圧倒的なパフォーマンスを見せつけた阿部が、歌唱審査で選んだのは欅坂46「サイレントマジョリティー」だった。低い音域から阿部のボーカルが活きる楽曲ではないものの、「新しい一面を見せるためにも意外性を考えた」という彼女の思いが全面に出た歌唱となった。
対して、間島が選んだのは自身がセンターを務めることができなかったラストアイドルのデビュー曲「バンドワゴン」。ラストアイドルを国民的アイドルにーーそんな彼女の一貫したグループ愛が溢れたパフォーマンスは、笑顔にやがて大粒の涙が入り混じっていく。声を震わせながらも必死に歌うその姿からは、グループを背負う覚悟とブレることのない意思を感じさせた。オーディションバトルの中で起きるドラマ、パフォーマンス能力とは別のメンバー、楽曲の裏にある思いが、この2年間で育まれたラストアイドルの醍醐味と言えよう。結果、パフォーマンスが総合的に高く評価された阿部が1位に、思いの強さが審査員にも伝わった間島が3位に選ばれた。決して仲が悪いわけではないが、付かず離れずの関係性の阿部と間島。阿部が間島にマイクを渡す瞬間に見せた笑みは、互いのパフォーマンスを通じて共鳴した思いのようにも感じさせる。
そして、間島をも上回る2位に選ばれたのは、長月翠。過去にコンサートでも披露している松田聖子「青い珊瑚礁」は、抜群に長月の声質に合った楽曲だ。“阿部の隣”という重要なフロントポジションに返り咲いた長月も、LaLuceとシュークリームロケッツを兼任する、グループの顔となるメンバーである。
8位までを占めている1期生メンバーのパフォーマンス力の高さを痛感しながらも、印象的なのが2期生、2期生アンダーから8名が選ばれていることだ。ダンス、歌唱とともに「1番やりきっている」と評価された町田穂花は9位に。さらに、審査員であり振り付け師のakaneからダンス部門で満点となった畑美紗起が12位。前作「青春トレイン」でスポットを浴び、今回MISIA「オルフェンズの涙」を抜群の歌唱力で歌いきった米田みいなが16位。私立恵比寿中学「禁断のカルマ」に賭けてきた思いを込め、新たな一面を見せた白石真菜が18位と、新たなラストアイドルの表情を覗かせる選抜にもなっている。
「愛を知る」MVは、オーディションバトルから一変して、メンバーの可愛らしい表情が収められた映像に。突き抜けた明るさの中の一方で、サビの歌詞では〈君と出会って泣けて来た なぜか涙が止まらない〉〈心 閉ざしてた僕が 同じ痛みを感じた存在〉と綴られており、2年間の幾多のバトル、合宿で生まれたドラマをも彷彿とさせた。これまでの歩みを踏襲しながら、ラストアイドルは確実に新たなフェーズへと突入している。(渡辺彰浩)