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『半分、青い。』鈴愛と律の関係性に再び変化 律の母・和子が2人に残したもの

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 『半分、青い。』(NHK総合)第21週「生きたい!」では、病気療養をしていた律(佐藤健)の母・和子(原田知世)が息を引き取る。劇中で和子と最後に会話をするのは律。昔から語りたがりであった和子に、鈴愛(永野芽郁)はあえてセンキチカフェのマスコット・岐阜犬の声の仕事を任せた。

 律は、おつかいの帰り道に何気なく寄ったセンキチカフェで、岐阜犬を介して、今まで面と向かって言えなかった和子の子供で幸せだったこと、大好きだったことを伝える。「もう遅いよ。帰っておいで」という和子の優しい一言は、もうすぐ40歳という律でも、彼女にとってみればいくつになっても変わらず“子供”であると同時に、子離れできないのだということを感じさせる。岐阜犬のもとにブッチャー(矢本悠馬)の母・富子(広岡由里子)が、娘・麗子(山田真歩)と健人(小関裕太)の結婚話を相談しにくる場面で、和子は「親にできることは、子供を信じてあげることかと」と答えていた。気持ちを内に秘め、溜め込むところがある“生きるのが下手な”律は、商店街を全力疾走し、葛藤を垣間見せる。それは、和子の病のことだけではなく、より子(石橋静河)との夫婦関係も含めたものだ。あえてそっと見守ることが、和子と弥一(谷原章介)ができる親として信じてあげることだったのだろう。

 和子と鈴愛はまるで親戚同士のような特別な関係だった。鈴愛が律に用がある時、萩尾家の親機にかけ、和子の機嫌を伺っていたように、岐阜犬の声を和子に任せたように、「支えたい」という鈴愛の一心は、和子に十二分に届いていた。そのアンサーが、和子が大事に付けていた律との母子手帳と育児日記を鈴愛に預けること。より子でなく、弥一でもなく、律本人に渡すでもなく鈴愛を選んだのは、岐阜犬として自分を頼ってくれたのと同じように、“マグマ大使”として律を頼ってくれた信頼の証だ。

 第19週より東京から岐阜・梟町に舞台を移し、再会した律と鈴愛の関係は、少しずつ変化している。互いに結婚し、子供がいて、40歳目前。鈴愛が晴(松雪泰子)との会話の中で、改めて律との関係性に「律は友達? 何やろ、もっと特別や」と自問自答していたように、2人の間柄は次の段階へと進んでいる。それを象徴するのが、和子が亡くなり、川辺で物思いにふける律に鈴愛が声をかける場面。9歳の秋に左耳の聴力をなくした鈴愛と母親を亡くした律。律がいなくなり直感的に探しに行ったのがこの川であるように、2人にとって思い出の大事な場所だ。いまさら2人には多くの言葉はいらない。「あ……1人のほうがいいか」という鈴愛の気遣いに、律は「いや、いいよ。てか、いろよ。いてよ」と答える。和子を亡くしたことから押し寄せる寂しさ。律の言葉からは、いまだ強く残る内省的な性格と、「いてよ」という自分の殻から一歩踏み出す勇気が見える。今度は律が鈴愛を頼る番。和子の死を経て、律が示した思いに、鈴愛も表情に笑みを浮かべる。

 一方で、第21週では、津曲(有田哲平)という新たなキャラが登場し、異彩を放った。花野(山崎莉里那)のフィギュアスケートへの目覚めも気になるところだが、第22週「何とかしたい!」の予告では、津曲の妹・恵子(小西真奈美)が新キャストとして出演。全身緑色という出で立ちがすでに強烈なインパクトを残している。放送も9月29日の最終回まであと1カ月ほど。物語はいよいよラストスパートに突入していく。(渡辺彰浩)