『エール』望月歩が吹いたハーモニカ 裕一が再び音楽に触れる瞬間
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志津(堀田真由)に恋した裕一(窪田正孝)だが、彼女の正体は近所の悪ガキと共に裕一(石田星空)をいじめていたとみ(白鳥玉季)だった。失恋を経験した裕一は、銀行員の仕事に没頭する。NHKの連続テレビ小説『エール』が第4週の初日を迎え、鉄男(中村蒼)と川俣銀行の人々の励ましによって、裕一が再び音楽に触れる瞬間が描かれた。
失恋から1年経ち、川俣銀行の人々は裕一を元気づけようとさまざまな作戦を実行するが、うまくいかない。
【写真】窪田正孝撮り下ろしカット
そんな中、記者として働く鉄男が裕一の元を訪れる。鉄男は「国際作曲コンクール」の話を持ちかけた。自分が記事を担当するオペラ歌手・双浦環(柴咲コウ)の福島公演に裕一を誘う。しかし、裕一は一言も発さず、暗い表情のままだった。
鉄男は、裕一から言われた「しがみつけば必ず道は開く」という言葉を信じている。記者として働きながら詩作に向き合う鉄男の目には、大好きな音楽から離れようとする裕一の姿が苦しそうに見えるのだろう。鉄男は「お前が好きなストラヴィンスキーが審査員だぞ」「挑戦すんのはタダなんだからやってみろ」と明るく声をかけたが、その姿から、音楽が大好きだった裕一の背中を押したいという気持ちが感じられる。鉄男は裕一の音楽への強い意志を信じているのだ。
鉄男が去った後、裕一は長い時間考え込んでいたようだ。そんな折、ふと聞こえてきたハーモニカの音に誘われ、裕一は階下に下りる。松坂(望月歩)がハーモニカを吹いていた。川俣銀行の人々が、音楽で裕一を励まそうとしていたのだ。鉄男からもお願いされた彼らは「国際作曲コンクール、応募してみたら?」「古山君の仕事は俺たちがやっから、挑戦してみ?」と裕一を後押しする。底抜けに明るい励ましに、思わず笑顔を見せる裕一。1年ぶりに元気を取り戻した裕一は、再び作曲に挑戦することになる。
裕一が思い悩んでいるとき、その手元には鉄男に直してもらったハーモニカがあった。約束を果たせずに別れた後も、二人にはつながりがあったのだと感じさせる。鉄男は裕一が発した無邪気な励ましを信じ続けていた。音楽と詩作にしがみつき、道を開こうとする二人らしいつながりだ。
(片山香帆)