中川晃教が奇跡を呼んだ『ジャージー・ボーイズ』再び
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2016年に日本初演されて大旋風を巻き起こし、ミュージカル作品としては初めて読売演劇大賞にも輝いた『ジャージー・ボーイズ』日本版。その待望の再演が本日9月7日(金)、東京・シアタークリエを皮切りとする全国ツアーの幕を開ける。作品の誕生は2004年に遡り、翌年ブロードウェイに進出すると2017年までの大ロングランを達成した後、現在はオフ・ブロードウェイに場所を移して続演中。日本では、クリント・イーストウッド監督による映画版の公開(2014)、来日公演(2015)を経て、満を持しての日本版製作となった。
作品の最大の魅力は、1960年代に活躍した4人組コーラスグループ「ザ・フォー・シーズンズ」の軌跡を描く物語を彩る、彼ら自身のヒット曲の数々だ。《君の瞳に恋してる》や《シェリー》などは、たとえ彼らの名を知らなくても、誰もが一度は耳にしたことがあるであろうスタンダード・ナンバー。だが、よしんばそれすら聴いたことがなかったとしても、彼らの音楽に熱狂した60年代の人々の気持ちが追体験できるようになっているのが本作だ。
その秘密は、リードボーカルであるフランキー・ヴァリの唯一無二の歌声を再現する、フランキー役の俳優にある。逆に言えば、「もっと歌って!」と切望したくなる歌声を持った俳優がいなければ成功はあり得ないなか、日本に中川晃教がいたことは奇跡のような幸運だ。一方、中川フランキーは変わらぬまま他のメンバー3人にはWキャストが組まれ、2通りの“ボーイズ”を楽しめるのは日本版ならではの魅力。初演を知るチームWHITEと新メンバーが2人加わったチームBLUE、それぞれのハーモニーに心ゆくまで酔いしれたい。
シアタークリエにて10月3日(水)まで。
文:町田麻子