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ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 『バットマン』&『ダークナイト』シリーズは悪役(ヴィラン)で見る!

WOWOW『ジョーカー』放送記念!
『バットマン』&『ダークナイト』シリーズは 悪役ヴィラン で見る!

7月23日(木・祝)よりWOWOWシネマにて放送
7月4日(土)には『バットマン【吹替補完版】』が先行で無料放送

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あの『ジョーカー』がついにWOWOWに登場!
『バットマン』&『ダークナイト』シリーズを悪役視点で見直そう!

記憶に新しい2019年10月4日、日米同日に劇場公開がスタートした映画『ジョーカー』。DCコミックスを基に数々の劇場映画が作られてきた『バットマン』の中でも屈指の存在感を放ち続けてきた悪役(ヴィラン)・ジョーカー、その誕生の経緯に焦点が当てられた本作は、全世界では10億ドル、日本でも快挙と言っていい50億円超の興収を記録するメガヒット作となった。

そんな規格外の作品『ジョーカー』が、満を持してついにWOWOWで放送されることに。しかも、1989年『バットマン』から2012年『ダークナイト ライジング』まで、ティム・バートン、ジョエル・シューマカー、クリストファー・ノーランという3人の名監督たちが手がけてきた[『バットマン』4部作編]と[『ダークナイト』トリロジー編]7作品も併せて放送される。

時に(いつも!?)、主役ヒーローであるバットマンをも霞ませるほどの強烈な存在感を放ってきたシリーズの悪役たち。そこで本特集では、彼らにスポットを当てながら、『ジョーカー』とこれまでのシリーズ7作を振り返っていきたい。

ここからは、[『バットマン』4部作編]と[『ダークナイト』トリロジー編]に登場してきたさまざまな悪役たちをサカナに、ぴあアプリの“エンタメ水先案内人”であり、シリーズを観続けてきた映画ライター、相馬学さんと村山章さんによる座談会をお届け。ジョーカーはもちろん、キャットウーマンなどの悪女キャラや、名だたる演技派俳優たちが扮したインパクトキャラたちまで、悪役の姿を追っていくことで見えてくるものとは!?

【相馬学】映画周りのフリーライター。雑誌&劇場パンフレットや、Web媒体でお仕事中。アクションとスリラーが大好物。ぴあアプリではエンタメ水先案内人を務める。

【村山章】映画ライター。ネット配信系作品のレビューサイト「ShortCuts」の代表、「さるハゲロックフェスティバル」の運営等も行っている。ぴあアプリではエンタメ水先案内人を務める。

ジョーカーを素材に、真剣にシリアスな映画を撮ったのが『ジョーカー』

── まずはジョーカーについて話さないことには始まりません。DC作品では最多登板のヴィランでもありますから。

村山 『ジョーカー』の主人公は正直、悪役に見えないんですよね。ジョーカーを名乗り、世の中の人からジョーカーと呼ばれるようになった人で、ヴィランというより、不幸でダメな人間ですよ。あの男が、この先ゴッサムシティを席巻する悪党になる、という感じはしません。

相馬 ジョーカーを素材にして、真剣にシリアスな映画を撮ったのが『ジョーカー』だからね。いわゆるアメコミ映画……という感じがしない。

『ジョーカー』

村山 よく言われてることだけれど、『キング・オブ・コメディ』などのマーティン・スコセッシ作品がモデルになっている。DC原作では異色作ですよね。

相馬 それまでの映画のジョーカーはシンプルに悪党で、観客としては忌み嫌うべき存在で、見ていて「早く退治されろ!」と思ったけど、このジョーカーはDC作品で初めて観客の側に立ってるからね。その視点が面白い。

村山 ただ、あの人に本当に共感していいのか、というのはよく分からない。ああいう弱者に自分を重ねて、“もっとやれ!”と思ってしまう観客の気持ちは、正直恐ろしいと思うんですよ。映画と割りきれればいいけれど、あのキャラクターが観客に身近に感じられることによって、現実世界での“もっとやれ!”を後押しそうな怖さがあります。

相馬 なるほど。今アメリカで起こっている暴動(※丸腰の黒人男性が白人警官に殺害された事件に端を発する“Black Lives Matter”の抗議運動)の背景には、ひょっとしたら『ジョーカー』のパワーがあるのかもしれない。

『ジョーカー』

村山 ホアキン・フェニックスの演技も力いっぱいですからね。どの主演作を見ても、スゴイと思うけれど、一方で“ここまでやります!”という密度の濃さが最近は息苦しいんですよ(笑)。ホアキンが出てる場面だけ、重力が倍になってる気がして、“もう少し力を抜いてもいいんだよ”と声をかけたくなる。

── 『ジョーカー』を観てホアキンを知った人に勧めたい、彼の主演作はどれですか?

相馬 『ザ・マスター』かなあ。あの映画のホアキンは表情がとにかく不気味で、何を考えているか分からなくて怖い。しかも映画の題材が信仰宗教の危険性に言及しているので、ヤバい匂いがプンプンしてくる。

『ザ・マスター』
(C)MMXII by Western Film Company LLC.

村山 確かに、ホアキンならこのくらいのことはやるな……と思える映画ですね。『容疑者ホアキン・フェニックス』もそうですよ。フェイクドキュメンタリーですが、異常なほどシリアスな役者である……という前提があったから、“俳優やめます”という“どっきり”が成立してるようなもんですよね。

『容疑者ホアキン・フェニックス』
(c) 2010 Flemmy Productions, LLC

相馬 あとは、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』は比較的ライトなので、村山さんのようなホアキン疲れしてる人にお勧め(笑)。ヒロインとの恋愛ドラマの部分も強いし、彼女にスポットが当たる分ホアキン密度は低いし、基本的にはダメ男が反省するまでの話だから。

『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』
(c) 2005 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

陰鬱な金持ちのバットマン、そのアンチテーゼとして存在するジョーカー

村山 さっき相馬さんから、ホアキンのジョーカーは初めて観客の側に立った……という話が出ましたが、俺にはヒース・レジャーのジョーカーもそうだったんですよ。

『ダークナイト』でジョーカーを演じるヒース・レジャー

相馬 世界が滅ぶのを見て喜んでいる、あれに共感したの? ヒドイ男だね、君は(笑)。

村山 (苦笑)いやいや、世の中の偽善に唾を吐いて、暴き出そうとする部分に共感したんですよ。

相馬 なるほど。アナーキストとしての魅力ね。確かにそれはあるけれど、あのヒース・レジャーを見て“コイツは俺と一緒だ”とは思えないのよ。

村山 確かに、しみったれた日常を送っている我々としては、ホアキンの方がリンクする(笑)。

相馬 面白いのは、『ジョーカー』は基本的にひとりの男がジョーカーになるまでの話だけれど、『ダークナイト』ではジョーカーになるまでの経緯がいっさい描かれないんだよね。セリフで彼の過去がチラホラと語られる程度で。

村山 ジャック・ニコルソンのジョーカーは、薬品の中に落ちてジョーカーに変身するまでのドラマがちょっとありましたね。

相馬 でも、ニコルソンはジョーカーになる前からギャング、つまり悪党だった。そこはホアキン版のジョーカーとは違うし、だからこそヒース版と同様に、最初からヴィランとして成立する。結局、ニコルソンもヒースも、バットマンという正義漢に対する悪漢だし。

『バットマン』でジョーカーを演じるジャック・ニコルソン

村山 ホアキンがジョーカーになりきれてないと思うのは、クラいからじゃないですかね。この男がゴッサムを震撼させる愉快犯になるとは思えないんですよ(笑)。

相馬 クラいと言えば、『バットマン』も『ダークナイト』も、ジョーカーよりもバットマンの方がキャラはクラいしね。

村山 そう、基本的にバットマンは陰鬱な金持ちなんですよ。それに対するアンチテーゼとして、陽気なジョーカーが存在する。

相馬 ニコルソンのジョーカーは、それがはっきり出てたよね。テンション高いし、ダンスもする。監督のティム・バートンが、あくまで漫画としてジョーカーを描いた成果だよね。

村山 漫画にしたからこそ、オスカー俳優のはしゃっぎっぷりがすごくなってます(笑)。

悪女キャラやその他強烈な悪役たちも!
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