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電気グルーヴ、様々な名曲がバイラルチャート席巻 サブスク&MV復活の歓喜が示した“リスナーに求められ続ける理由”

音楽

ニュース

リアルサウンド

参考:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(6月25日公開:6月18日~6月24日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:jon-YAKITORY「シカバネーゼ」
2位:yama「春を告げる」
3位:瑛人「香水」
4位:DISH//「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」
5位:りりあ。「浮気されたけどまだ好きって曲。」
6位:電気グルーヴ「Shangri-La」
7位:YOASOBI「夜に駆ける」
8位:優里「かくれんぼ」
9位:Marie Lemme「Myra」
10位:Shuta Sueyoshi「HACK」

 今週のトピックスは何と言っても、電気グルーヴだろう。彼ら最大のヒット曲である「Shangri-La」が、6位にチャートイン。50位までのランキングを見ると、なんと11曲も彼らの楽曲がランクインしているのである。

(関連:電気グルーヴが語る、楽曲制作の流儀「悲しみや怒りを無理やり同意させるのはカッコ悪い」

 昨年、電気グルーヴは30周年のアニバーサリーイヤーを迎えた。日本人として初となる『FUJI ROCK FESTIVAL ’19』のヘッドライナーも決まっていた。そんな最中の春、30周年ツアーのファイナル直前に、メンバーのピエール瀧が逮捕されるというショッキングなニュース(もはや詳細は説明不要ですよね)が飛び込んできた。このニュースを受け、すべての作品の回収、配信停止、ライブのキャンセルなど、電気グルーヴは全活動の自粛を余儀なくされた。ピエール瀧は電気グルーヴとしての音楽活動だけではなく、役者としても活動していたため、出演した映画作品などにも公開延期などの影響が及んだ。

 この“制裁”に、ファンや音楽リスナーを中心に「作品に罪はない」という意見がSNSを中心に散見。日々増え続け、気が付けば、エンターテインメント業界全体の在り方を問う――そんな、ひとつの世論にまで広がった。過去に同様の“制裁”を受けたアーティストは何人かいるが、ここまで様々な人が「作品に罪はない」と声を上げ、ひとつの世論にまで至ったのは、初めてのことだったと思う。この現象は、電気グルーヴの音楽がたくさんの人に愛されていたことを証明する事実だ。デビュー以降、ひたすら“音楽シーンの異端児”で在り続け、絶対に真似できないという意味で、唯一無二の存在で在り続けた電気グルーヴ。彼らは、想像以上に、世の中に認められていたのだ。それは一重に、彼らの作り出す音楽がいつも刺激的でハイクオリティだったからに他ならない。

 そしてその愛は、今週のSpotifyの「バイラルトップ50(日本)」で、改めて証明された。

 先週“制裁”を終え、再び解禁された彼らの音源。ランクインした11曲の中でも上位を占めるのは「Shangli-La」、「虹」、「N.O.」など、メロウな曲が中心。特に「虹」や「N.O.」については、彼らには珍しく、歌詞も読解可能な内容。どちらも刹那を歌っているが、前者は刹那の向こうに希望をロマンチックに表現。後者は刹那の中のやるせなさをリアルに、だが愛嬌たっぷりに表現している。ピエール瀧が手掛け、ライブでもピエール瀧の見せ場となる「富士山」が25位にランクインしているあたりにも、電気グルーヴの音楽を待っていたリスナー達の想いが込めやすい曲が、多く再生されているのがわかる。

 また現時点での最新アルバム『30』からは「いちご娘はひとりっ子」が上位にランクイン。彼らの楽曲の中でも、かなり変わり種のこの曲は、アイデアが冴えるクールでコケティッシュな1曲。彼らの音楽的頭脳が、絶え間なくアップデートされていることに敏感に反応するリスナーが、数多くいることを裏付けている。

 個人的に最も印象深かったのは、50位に「Niji – Paul van Dyk’s Pot Of Gold Remix」がランクインしていること。ヒット曲やシングル曲、ライブのキラーチューンに並び、リミックス曲がランクインしてくるなんて、じつに電気グルーヴらしい。というかもっと言ってしまえば、本当にテクノならではの結果だなと思って、嬉しすぎてちょっと切なくなってしまいました。

 果てさて、電気グルーヴ。今週、50位にチャートインした曲だけでも聴いてみて欲しい。どの曲もダンスミュージック。テクノミュージック。されどどの曲もアイデアもアプローチも違う。わけわからんと思うかもしれない。でもそれでいいのです。そこが、電気グルーヴのいいところ。果てさて、あなたが聴いた電気グルーヴはどんなダンスミュージック?(伊藤亜希)