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SEVENTEEN、本国でミリオンセラー達成の『Heng:garae』が日本でもチャート首位 サウンドの緩急&ボーカルの色合いに注目

音楽

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リアルサウンド

参考:2020年7月6日付週間アルバムランキング(2020年6月22日~2020年6月28日)(https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2020-07-06/)

 7月6日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはSEVENTEENのミニアルバム『Heng:garae』で推定売上枚数は100,892枚。2位につけたTWICEの『More & More』は6月7日発売ながら当週の売上枚数が54,624枚。発売第1週が12,764枚、第2週が36,068枚、第3週が7,689枚と続いて第4週目にして最大の売上ということになる。数週にわたってトップ10入りすること自体は珍しくないにせよ、興味深い推移だ。

(関連:セブチ『Heng:garae』で光るサウンドの緩急

 ほか初登場としては3位にブシロードのメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』に登場するバンド、Poppin’Partyによる『Breakthrough!』(21,607枚)が登場。4位にはテレビ東京系ドラマ『ひみつ×戦士 ファンとミラージュ!』からのユニット、mirage²による『MIRAGE☆BEST~Complete mirage² Songs~』(14,428枚)。7・8位にはTUBEの楽曲をDJ和がノンストップミックスした2作『35年で35曲“夏と恋”~夏の数だけ恋したけど~』及び『35年で35曲“涙と汗”~涙は心の汗だから~』がランクイン(それぞれ10,487枚、9,973枚)。9位には田村ゆかり『Candy tuft』(8,610枚)、10位にはV.A.『機動戦士ガンダム 40th Anniversary Album ~BEYOND~』(7,218枚)がランクインした。

 COVID-19禍の影響から低調が続いていたCDの売上も徐々に持ち直してきている。今回『Heng:garae』を始めとして、初登場・既発含めてK-POP(特に輸入盤)が堅調な売上で存在感を示している。といっても、メディアミックス系の作品の安定感も含めて、見慣れた景色ではある。

 さて、今回取り上げるのはなんといってもSEVENTEEN『Heng:garae』。本作は韓国では初動で100万枚を売り上げる、いわゆるミリオンセラーを達成して話題となっているが、各種報道によれば、これまでアルバムについて初週で100万枚を突破したのはSEVENTEENの本作を除けばBTSのみ。達成した記録の大きさが伺い知れる。

 一聴して気になったのはサウンドだ。

 冒頭の「Fearless」は三連のシャッフルビートに対するボーカルのフロウの変化で絶妙な緩急が演出される一曲。このボーカルのリズム処理はさすがだ。打ち付けるようなドラムや勇ましいブラスはいかにも迫力があるが、全体の印象としてはそれほど押しが強くない。なかでもギターの存在感がちょっとおもしろい。クドく感じないギリギリというか。

 2曲目「Left & Right」は終盤、バッキングボーカルを含めたサウンドのレイヤーがマーブル模様のごとくひとつの印象をつくっている。

 なんでわざわざこのあたりに注目するかといえば、それがポップミュージックにおける今っぽいふたつの作法、つまり音数を減らしつつひとつひとつのサウンドの分離を強調するミニマム志向とも、リバーブやレイヤリングで空間をぎっちり満たすマキシマム志向とも距離があるな、と思うからだ。具体的には前作『YOU MADE MY DAWN』あたりと比べると歴然とする。

 とはいえ、それで鳴りが小さくまとまったり、あるいは不自然にだまになっているようには感じられない。

 こうしたサウンドがいかにも映えるのが(ちょっとレトロなバラード「I Wish」やロックバラード「Kidult」を差し置いて!)最終曲の「Together」だ。ふんだんにストリングスやピアノが盛り込まれたイントロは、日本のリスナーとしてはいっときのJ-POPを彷彿とさせる。イントロだけではない。楽曲中これでもかとストリングスがバックを支える。これまでJ-POPで頻出するしつこいストリングスアレンジに対して幾度となく苦言を呈してきた身ではあるが、この曲に対して思わずグッとくる現象にどう説明をつけたものかと思ってしまう。サウンドの細かいケアもさることながら、大所帯グループならではのボーカルの色合いの豊かさや賑やかさも重要かもしれない。

 こういったサウンドやソングライティングの傾向を持った作品が、グループの勢いに乗ってセールス的に成功していることは興味深い。結構な方向転換にも思えるが、今後どのような展開を見せるのか気になるところだ。(imdkm)