新しい地図の個性が『ななにー』で爆発 ゲスト達との交流であぶり出された「長く愛される魅力」
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稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が、毎月第1日曜日の午後3時から7.2時間生放送を繰り広げる『ななにー』こと『7.2 新しい別の窓』(ABEMA)が、今月もオンエアされた。#28を数える今回も、先月に引き続き新型コロナウイルスの感染拡大予防のためにソーシャルディスタンスを保っての放送となった。
(関連:新しい地図が向き合った2020年上半期 見えない未来を照らす、3人の取り組みを振り返って)
■withコロナ時代に呼びかける愛ある行動
オープニングでは、3人が先日より続く大雨被害についても言及。混乱が続く全国のファンにエールを送った。また、いまだ感染者ゼロを維持している岩手県の達増拓也知事にリモートで話を聞くコーナーも設けられた。
印象的だったのは「感染拡大はお互い様」という言葉だ。店舗や施設を運営する側だけではなく、利用する側の協力もなければ成り立たないと訴えた達増知事。香取の口からは「ニュースで岩手県は新型コロナウイルス接触確認アプリのインストール率が1位だと知った」という話も。今後も未知のウイルスと長期戦になるとみられる中、1人ひとりができる対策を地道に続けていくことが大切なのだろう。
加えて、今後もし岩手県から感染者が出たとしても、その人をとがめることなく、冷静に対処していこうという決意も語られる。誰かを攻撃するのではなく、落ち着いた行動を。混乱する前に、あらかじめそうした呼びかけをする意味は大きい。新しい地図の3人の思いは、いつだって「いっしょに頑張りましょう」だ。
東日本大震災の復興支援や映画『クソ野郎と美しき世界』の舞台挨拶で岩手に訪れたことのある3人は、「盛岡冷麺が食べたい」と話し、お取り寄せなどを利用して経済回復もできるのではと、withコロナ時代を共に生きていくアイデアを発信していった。
外出自粛モードから、徐々にかつての生活スタイルを取り戻そうとしている今、人との距離を保ちながら「久しぶりに会いたいな」という思いも出てくるタイミングだ。番組では3人にとって「お久しぶり」な人たちをゲストに呼ぶ「お久しぶり企画」を実施。本人も忘れていた数々のエピソードが披露され、改めて3人の個性があぶり出されることとなった。
■努力家なのに名前が覚えられない草なぎ剛
最初に草なぎの「お久しぶり」さんとして登場したのは、『『ぷっ』すま』(テレビ朝日系)で17年共演してきた大熊英司アナウンサーだ。6月末でテレビ朝日を円満退社し、フリーとなった大熊アナと久しぶりの再会にテンションが上がった草なぎはスイッチが入り「『『ぷっ』すま』の演出は全部(大熊アナが)考えてたんだから!」とハジけたトークを展開していく。
そんな草なぎのスイッチは『『ぷっ』すま』時代にもあり、ロケ中に自腹で100万円以上の古着を購入したエピソードが飛び出す。この日、大熊アナが履いていたデニムも、草なぎがそのときに買った23万円以上のものだと明かされる。すると、稲垣もかつて草なぎからブーツをもらっていたことが判明。「普通の友だちにあげるのもイヤだったから」と稲垣に譲ったものの「全然履いてないね!」と不満げな草なぎ。ついには「返して!」と言い放ち、稲垣が「安全靴でしょ(笑)?」と反論するなど、兄弟ゲンカのようなやりとりも見受けられた。
また、大熊アナは、草なぎが昔から人の名前が覚えられないところがあると指摘。『『ぷっ』すま』ロケで、L’Arc~en~Cielのhydeにずっと「kenくん」と呼びかけ、スタッフを凍りつかせた思い出話も語られた。そういえば、この日もソーシャルディスタンスを「ソー“サ”ルディスタンス?」とちょっと怪しげだった草なぎ。大熊アナは、今さらながら改めて「大熊英司と申します」と自己紹介し、笑いを誘った。
さらに、2006年放送のドラマ『僕の歩く道』(フジテレビ系)で草なぎの妹役を演じた本仮屋ユイカも登場。当時、草なぎはいくつものレギュラー番組を持ちながらドラマ主演するなど、多忙を極めていたにも関わらず、合間をぬって韓国語習得に勤しんでいたという。韓国人と通訳ナシでコミュニケーションが取れるほど高い語学力を身につけた草なぎだが、本仮屋を「カリヤちゃん」と呼び間違えるなど、やはり名前を覚えるのは苦手なままのようだ。
いつだって予定不調和。だからこそバラエティで光るし、演技の場面ではハッとするような表情で心を掴まれる。その振り幅こそが草なぎの愛される理由なのだと、再認識させられた。
■信頼している人にこそSっ気が出る香取慎吾
香取のもとに訪れた「お久しぶり」さんは、2009年放送のドラマ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(フジテレビ系)で共演し、役柄のまま香取を「先輩」と呼ぶ速水もこみち。『おじゃMAP!!』(フジテレビ系)など、香取がMCを務めたバラエティでも何度もゲスト出演した速水は、香取から「イカの目玉を食べさせられた」と暴露。食べてみたところ「美味しかった」と話す速水を見て、香取は「いい経験できたでしょ(笑)?」とイタズラっぽく笑う。
その『おじゃMAP!!』で、約6年もタッグを組んでいたアンタッチャブル・山崎弘也が登場すると、今度は「何も覚えてない」と急によそよそしい態度を見せて山崎を困惑させる香取。さらに勝俣州和が登場すると、香取が萩本欽一と共に司会を務める『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』(日本テレビ系)で、香取が「(あまり)頑張ってない」と自分をイジるため、なかなか合格できなかったとぼやく。
どうやら、香取は信頼している人であるほどSっ気が出てくる様子。もちろん、それが通用する相手からは逆にイジられもする。速水との話からは「ビジネス大食い」疑惑が飛び出し、山崎からは「ハンドソープ12個も購入して、洗面所がいくつある家に住んでるんだ?」と突かれ、勝俣からは「小学生のころ、かき氷を食べすぎて腹痛で番組に参加できないのを見て“やめてしまえ!“と思った」とも。
そんなイジりイジられ合戦から、とっておきの昔話も飛び出した。かつて勝俣が所属していたアイドルグループ「CHA-CHA(チャチャ)」は、当初草なぎがセンターでデビューする予定だったことが語られたのだ。デモテープまでもらい、レッスンを受けていた草なぎに、まだSMAPとしてCDデビューする前だった香取は、「CHA-CHAになるんだね」(香取)、「そうだよ、慎吾」(草なぎ)と話し、同じグループになれないのだと寂しい思いをしていたという。だが、萩本から「キミはこっちじゃない」と言われ、草なぎのCHA-CHAデビュー話は白紙に。香取は草なぎに「入らなくなったんだね!」とハグして喜んだという。
小学生の頃から芸能界で生きてきた香取。そんな幼いころの香取を知りながら、今も最前線で活躍している人というのも、貴重な存在だ。また、警戒心の強い香取のこと、現場を離れても2人で食事に行くほどの仲になる共演者も珍しい。ましてや香取がイタズラっ子のように甘えられるというのは、それだけ器もスキルも高い人という証なのかもしれない。
■イメージとのギャップで翻弄する稲垣吾郎
稲垣吾郎の「お久しぶり」さんは、『ゴロウ・デラックス』(TBS系)や『5時に夢中!』(TOKYO MX)などで共演を重ねてきた、作家の岩下尚史。稲垣のスター性にすっかり惚れ込んでいるという岩下は、稲垣の印象を高級クリスタルグラスのように愛でていると語る。そして、かつて稲垣が「1人で泣くことがありますか?」という質問に、当然のように「ありますよ」と答えたときの様子を語り、その涙もクリスタルのように綺麗なんだろうなと、思いを巡らせたという。
華麗に年齢を重ね、揺るがない自分の美学を貫く稲垣を、「やっぱりスターだ」と感じた瞬間もあったという岩下。それを感じたのは、新しい地図を開き始めたころ、久しぶりのテレビ出演だった『5時に夢中!』で、岩下の耳元で稲垣がそっとつぶやいた一言なのだという。その一言とは何だったのかを当てる問題が出されると、稲垣は「夢の中でまた会おうね?」とささやく。思わぬ甘い台詞に岩下は頬を赤らめ、周囲からは「口説いてるじゃん!」と総ツッコミが飛んだ。正解は「アガりました」という謙虚な稲垣を印象付ける言葉だったのだが、もはや先の破壊力が強すぎて耳に入ってこない。
“優雅でマイペースな稲垣吾郎“というイメージ通りなエピソードが飛び出したかと思いきや、 舞台『No.9 -不滅の旋律-』で稲垣扮するベートーヴェンの弟役を演じた加藤和樹が登場すると、共演者とバーベキューをしたり、グループLINEを作ったりと、稲垣の意外な一面が語られる。それを聞いて「バーベキューなんて風が吹くし、日焼けしちゃうじゃん!」と草なぎ&香取も動揺を隠せない。しかし、その詳細をよく聞けば、バーベキューにサシが入った超高級牛肉を持参してきて加藤を困惑させたというから、やっぱり我らが知る稲垣らしくて微笑ましい。
最後に友近がやってくると、食事中、スプーンに映った自分の姿を確認していたという話が。それを受けて「しょうゆの反射でも見てる!」と“稲垣あるある“で盛り上がる草なぎ&香取。かと思いきや「Yahoo!ニュースに載りたいんだよね。どうやったら載れるのかな」とこぼしていたというから、またしても稲垣の意外な一面に驚かされるのだった。
実に30年以上も国民的アイドルとして活躍してきた3人だが、掘ればさらなる魅力が見えてくる。長年かけて培ってきた実力とプライド、掴めそうで掴めない少年のような無邪気さ、彼らを応援するすべての人に向けた信頼。彼らがファンからはもちろん、周囲の人たちから愛されてきた理由を、改めて実感することができた回だった。(佐藤結衣)