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ゴッホ《ひまわり》がより見やすく! 「SOMPO美術館」新オープン

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損保ジャパンビルの手前に建てられた新美術館棟

1976年に東京・新宿に開館した「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」が、新たに「SOMPO美術館」として7月10日(金)にオープンした。

損保ジャパンビルの手前に建てられた新美術館棟

旧美術館は、損保ジャパンの前身のひとつである安田火災海上の新宿本社ビル42階に位置し、日本初の高層階美術館として注目を集めた。このたびお目見えする新美術館は、損保ジャパン本社ビルの敷地内に建設された6階建ての新美術館棟。やわらかな曲線が特徴的な建物はそれ自体がアート作品のよう。ガラス張りのエントランスを抜けると、1階からエレベーターで5階へ。5階から3階までの3フロアが展示室、2階がミュージアムショップと休憩スペースとなっている。

正面玄関前には、同館が所蔵するゴッホ《ひまわり》(1888年)の陶板複製を設置

開館記念展として開催されるのが『珠玉のコレクション—いのちの輝き・つくる喜び』だ。ゴッホの《ひまわり》をはじめ、ゴーギャン、ユトリロ、東郷青児、東山魁夷、平山郁夫など、フランス近代絵画や近現代日本の作品から選りすぐりの約70点が、6つのテーマに分けて紹介される。

第1章「四季折々の自然」会場風景

第1章「四季折々の自然」では、大正期から平成期の作家たちが、草木や動物、風景を描いた作品を紹介。

岸田劉生の孫、岸田夏子(1940〜)が心奪われたという満開の桜を描いた作品をはじめ、奥村土牛による《朝顔》、東山魁夷の《潮騒》、平山郁夫の《ブルーモスクの夜》などが並ぶ。

岸田夏子《桜華》1993年 損害保険ジャパン株式会社
左:奥村土牛《朝顔》1935年 SOMPO美術館 中央:東山魁夷《潮騒》1966年 SOMPO美術館 右:平山郁夫《ブルーモスクの夜》1976年 SOMPO美術館

大正から昭和にかけて京都画壇で活躍した山口華楊(1899〜1984)による《葉桜》は、全面的な修復を経て約10年ぶりのお目見え。西洋絵画の技術を学んだ上で、独自の画風を確立しようとした画家たちの優品を見ることができる。

山口華楊《葉桜》1921年 SOMPO美術館

「『FACE』グランプリの作家」と題した第2章。新進作家を支援する公募コンクールの過去3階から優秀賞を受賞した12名の作家の出品作や近作を展示。同時代を生きる画家たちの、新しい感性を感じることができる。

左から、青木恵美子《INFINITY Red》FACE2017グランプリ、庄司朝美《18.10.23》FACE2019グランプリ、遠藤美香《水仙》FACE2016グランプリ、仙石裕美《それが来るたびに跳ぶ 降り立つ地面は跳ぶ前のそれとは異なっている》2017年 FACE2018グランプリ、いずれもSOMPO美術館

第3章では、損保ジャパンとゆかりの深い画家「東郷青児(1897〜1978)」をフィーチャー。東郷の代名詞ともいえるモダンで甘美な女性像を描いた作品をはじめ、19歳の時に第3回二科展で二科賞を受賞し、画業初期の代表作となった《パラソルさせる女》、カレンダーの挿絵といったデザインの仕事、ブロンズ作品なども見ることができる。

東郷青児《パラソルさせる女》1916年 SOMPO美術館(寄託:一般財団法人 陽山美術館)
第3章「東郷青児(1897〜1978)」会場風景
東郷青児《花炎》1965年 SOMPO美術館

第4章「風景と人の営み」では、19世紀後半から20世紀かけての欧米の風景を描いた作品が紹介される。モーリス・ユトリロ(1883〜1955)によるモンマルトルの街並み、ポール・ゴーギャン(1848〜1903)が力強い色彩で描いた仏アルルの並木道、また、20世紀後半に失われゆくアメリカの牧歌的風景を刺繍画や油彩画を制作したグランマ・モーズス(1860〜1961)らの作品が並ぶ。

モーリス・ユトリロ《モンマルトルのミミ=パンソンの家とサクレ=クール寺院、モン=スニ通り(モンマルトルのサクレ=クール寺院)》1925年 SOMPO美術館
ポール・ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》1888年 SOMPO美術館

「人物を描く」と題した第5章では、19世紀後半から20世紀にかけて活躍した画家たちによる自画像や、身近な人々を描いた作品が紹介される。

ルノワール(1841〜1919)が豊かな色彩で描く女性たち、東郷青児と岸田劉生の自画像、ジョルジュ・ルオー(1871〜1958)がボードレールの詩集『悪の華』のために制作したキリスト像など、多彩な表現を見ることができる。

左:ピエール=オーギュスト・ルノワール《帽子の娘》1910年 SOMPO美術館 右:ピエール=オーギュスト・ルノワール《浴女》1892-93年頃 SOMPO美術館
右:東郷青児《自画像》1914年 SOMPO美術館 左:岸田劉生《自画像》1913年 SOMPO美術館
ジョルジュ・ルオー《『「悪の華」のために版刻された14図』Ⅲ-キリスト》1927年刷  SOMPO美術館

最終章となる第6章「静物画—花と果実」では、ポール・セザンヌ(1839〜1906)による《りんごとナプキン》、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)による《ひまわり》を堪能できる。

ポール・セザンヌ《りんごとナプキン》1879-80年 SOMPO美術館

《ひまわり》は、1988年に当時は安田火災が創業100周年記念として購入。以来、美術館のシンボルとして常設されてきた。新美術館では、展示ケースに映り込みが少ない特殊なガラスを採用。作品とガラスの距離も近くなり、細かな筆のタッチも見てとれる。

フィンセント・ヴァン・ゴッホ《ひまわり》1888年 SOMPO美術館

同作は、ゴッホが7点描いた連作《ひまわり》のうちのひとつ。ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の作品をもとに描かれたと言われるが、現在、上野の国立西洋美術館で開催中の『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』(〜10月18日)にてその元となった作品を見ることができる。花の本数や構図、背景の色はほぼ同じだが、全体の色調や絵の具の盛り上がりなど、ゴッホが再制作にあたって加えた変化を発見することができるはずだ。

フィンセント・ヴァン・ゴッホ《ひまわり》1888年 SOMPO美術館

また、SOMPO美術館開館記念展の第2弾として、『ゴッホと静物画 伝統から革新へ』が10月6日(火)から開催予定。17世紀オランダから20世紀初頭までのヨーロッパの静物画の流れの中にゴッホを位置づけ、ゴッホが過去から学んだこと、そして次世代の画家たちに与えた影響などを探るという。

貴重なコレクションのひとつであるゴッホの《ひまわり》を中心に、新宿の新たなアートランドマークとなるSOMPO美術館の今後の展開にも注目していきたい。

【開催情報】
『SOMPO美術館 開館記念展「珠玉のコレクション—いのちの輝き・つくる喜び」』
7月10日(金)〜9月 4日(金)までSOMPO美術館にて開催
関連リンク:SOMPO美術館

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