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ぴあ 総合TOP > チョンハ、SUMIN、X1出身チョ・スンヨン=WOODZ……様々な形で“NEO K-POP”に挑むアーティスト

チョンハ、SUMIN、X1出身チョ・スンヨン=WOODZ……様々な形で“NEO K-POP”に挑むアーティスト

音楽

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リアルサウンド

 Apple Musicが以前から公開していたK-POPの注目作を取り上げるプレイリスト「ブレイキング:K-Pop」が「+82-NEO-POP」という新たなプレイリストとしてリニューアルした。

(関連:IU×BTS SUGA、MAMAMOO ソラ、チョンハ……K-POPシーンで独自路線進む女性ソロアーティストの新作

 韓国の国番号である「82」を冠したこのプレイリストでは、NEO K-POPという新たなカテゴリーを掲げ、様々なジャンルをクロスオーバーさせながら活躍する韓国の若手アーティストたちを中心にキュレーションしている。これまでK-POPともK-HIPHOPともカテゴライズできない先鋭的なアーティストはすでに多数いたが、このプレイリストによりそうしたシーンの動きにアクセスしやすくなるだろう。

 本稿ではこの「+82-NEO-POP」というプレイリスト、そしてNEO K-POPという言葉を念頭に置きつつ、メジャーなシーンにおいても先鋭的な作品発表に取り組み続けているアーティストを紹介する。

 まず直近のリリースで注目したいのが、元I.O.Iメンバーで現在もポップアイコンとして第一線で活動を続けているCHUNG HA(チョンハ)の「PLAY (Feat. CHANGMO)」だ。

 実はこの楽曲、とある理由で一部のリスナーの間でリリース前から話題になっていた。K-POPにおいては、リリース前にティザー映像やコンセプトフォトを公開するプロモーションが恒例で、ファンはそれらのヒントを元にどんな楽曲になるのかを予想して楽しんでいる。話題を呼んでいたのは、コンセプトクリップとして題された2本の映像だ。

 見てもらえればわかる通り、テンポの速い激しいドラムが特徴的な楽曲が流れている。これは「ジャングル」と呼ばれるクラブミュージックのジャンルの一つで、かなりマニアックな部類のものだ。一般的なポップスであまり使用されないジャンルだけに、K-POP好きはもちろんクラブミュージック好きの間でもかなり期待感のあったリリースだったのである。

 プロモーションの一つとはいえ、いやむしろプロモーションの一環でこうした楽曲を起用するのは、かなり尖った例と言えるだろう。

 肝心の「PLAY」も十分な意欲作だ。「METEOR」でヒットを飛ばしたラッパー、CHANGMOをゲストに迎え、これまたムーンバートンというクラブミュージックのジャンルを土台にした楽曲だ。

 ムーンバートンは、K-POPの中では比較的よく使用されるジャンルの一つだ。今作が気になった人は、YouTubeで「K-POP Moombahton」などと調べると関連作をまとめた動画が見つかるので、ぜひ調べてみてほしい。

 次に紹介したいのが、冒頭で述べたプレイリストでも紹介されているSUMIN。<MOTHER>というレーベル/コレクティブからリリースしたEP『XX,』は様々なジャンルをクロスオーバーした、まさにNEO K-POPという言葉にふさわしい傑作だ。

 SUMIN自身アイドルへの楽曲提供を行ったり、様々なラッパーとコラボレートしたりと、多様な活動を行っている通り、今回のEPもヒップホップやポップスの要素はもちろん、よりマニアックなクラブミュージックの要素もふんだんに取り入れている。

 しかしマニア向けの分かりづらい音楽ではなく、自身の声質や歌メロでしっかりフックを作ってポップスとして仕上げ、SUMINらしい作品としてまとめている。SUMINの恐ろしくもある魅力だ。

 同作に収録の「SWIM」のリリックには日本語も印象的に使用されている。跳ねるようなビートと組み合わされる韓国語のラップの中で唐突に挿入される日本語は、一気に楽曲に取り込むトリガーとして機能しているように感じる。DJ/プロデューサーとして世界的な人気を得ているYaejiがリズミックなフックとして韓国語を使うように、メロディやリズム的な面白さで使っているのかもしれない。

 CHUNG HAに続き、メジャーシーンで意欲的な作品を発表したアーティストとしてWOODZも紹介したい。

 WOODZは、サバイバル番組『PRODUCE X 101』でX1としてデビューし、絶大な人気を獲得したチョ・スンヨンのソロ名義だ。今作『EQUAL』はWOODZとしての活動を通して交流が生まれた友人たちと楽曲を制作している。WOODZとしての活動を待ち望んでいるファンが大勢いただけに、周りをフックアップしていこうという意気込みを感じる。

 クレジットに注目してみると、「memories」「Waikiki」を除いた全曲にNATHANが作曲やプロデュースで参加している。NATHANは、M.O.L.AというWOODZも参加しているクルーの一人だ。ほかにPark JiminやKINO(PENTAGON)、VERNON(SEVENTEEN)が参加している。

 同作には、ゲストラッパーとしてColde、punchnelloも参加。K-HIPHOPシーンにおける中心的な存在のラッパーだ。

 楽曲はゲストラッパーのカラーを存分に反映させており、クオリティの高い仕上がりだ。チョ・スンヨン、そしてWOODZとしての活動を通した得た経験を盛り込み、アイドル・ヒップホップの垣根を融解させる作品に仕上がっている。

 さらに関連して紹介したいのがMISO、KIRINだ。MISOはDEANやCRUSHが所属しているクルー・Club Eskimoのメンバーでもあるシンガーソングライター(現在Club Eskimoはほぼ活動していない)。

 先日リリースした「Alone」は、プリズマイザーと呼ばれるボーカルエフェクトを使っており、環境音楽的な大胆な構成が特徴的な傑作だ。3分近くまではっきりとしたいわゆる歌メロが無いだけに、ドラマチックな展開を遂げた後半のサビ部分は必聴。

 彼女は先日TikTokで開催され、iKONのBOBBYやBlock BのZICOも出演した配信イベント『TikTok Stage With HIPHOPPLAYA』にも出演。今後ヒップホップシーンに留まらない人気を獲得するアーティストになるだろう。

 KIRINは<8BallTown>の中心的なアーティスト。日本のラッパー、ZEN-LA-ROCKともコラボレーションしたことがあり、ニュージャックスウィングを取り入れた楽曲を中心に発表している。

 ニュージャックスウィングの楽曲には、EXID「LADY」、VERIVERY「Ring Ring RIng」、SHINee「1 of 1」などがあるので、聞き馴染みのあるK-POPファンも多いだろう。

 KIRINが最近リリースした「ORE ORE」は、Hoodyをゲストボーカルに招いた80’sライクなポップミュージック。レイブピアノを隠し味的に使い、アッパーな夏らしいポップスとして振り切っている。

 一般的な知名度はまだ高くないが、音楽好きの若いリスナーからはすでに有名な存在だ。ニュージャックスウィングを中心に、様々なアーティストとコラボレーションしながら作品を発表しているKIRINは、すでに彼独自の立ち位置を得ている。NEO K-POPを語るなら外せないアーティストの一人だろう。

 簡単にではあるが、様々なジャンルをクロスオーバーさせ、独自の立ち位置を築いているアーティストを紹介してきた。韓国の音楽シーンにはこうした面白いアーティストが多く活動している。クレジットや扱っているジャンル、所属しているレーベルなどをヒントに探してみると、さらに新しいアーティストに出会える確率が高い。今回の記事を参考に、新たなNEO K-POPに出会えれば幸いだ。(ヤマダ)