活動10周年を迎えたCANDY GO!GO!が語る、7人の絆 「Infinity」は苦難を乗り越えたからこそ歌える希望の歌
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CANDY GO!GO!が7月15日にシングル『Infinity』をリリースした。メンバーの菜月アイルが作詞を担当した結成10周年を記念した作品で、苦節を乗り越えてきたグループの歩みを辿りながら、今のメンバーに向けた新たな決意が込められた楽曲だ。
今回のインタビューでは、シングルの話題に加え、メンバーの入れ替わりが激しくグループの雰囲気が悪かったという2017年を起点に、メンバー4人の加入や脱アイドル宣言、椎間板ヘルニアの手術によるなぎさりんの不在など、これまでの大きなトピックについて掘り下げていった。そこから見えてきたメンバーの成長とグループへの思い、そして新型コロナウイルスにも負けない今しかできない取り組みを聞いた。
強い絆で結ばれていることが「Infinity」に込められている
ーー2017年3月にアルバム『IDOROCK』をリリースした際のインタビューから2年4カ月が経って、グループのコンセプトもメンバーも大きく変化しています。2017年には「脱アイドル宣言」をしています。
なぎさ りん:お客さんから「CANDYはアイドルじゃなくてアーティストだよね」って言ってもらえるようになったので、自分たちの自覚もアーティストとして見られたいという気持ちが強くなっていきました。
ーーアイドルとアーティストの違いはどういったところにあると思いますか?
なぎさ:自分たちの気持ちの問題ですよね。「私たちアイドルです」とその枠に閉じこもるのか、ほかにも出て行きたいか。
ーーそれではみなさんは、ロックをどのように捉えていますか?
なぎさ:ロックって魂の叫びなんですよ。低音で鳴らしているようなバンドサウンドだけがロックではなくて、目で見てハートに伝わってくるものがロックだと思うので、私たちはそれを全力で伝え続けていきたい。ステージでいかに見せられるかを課題にしています。
磯野未来:私たちは、やらされてやっているわけではないので。
ーー夏井さんや宇野さんにも、そのロックイズムは継承されているのでしょうか?
夏井さら:私は加入してまだ2年経っていないんですけど、いまだにちゃんとロックを分かってないのかなと思って……ロックってなんなんですかね。
ーー夏井さんは可愛らしい曲が好きなんですよね。
夏井:そうなんですよ。CANDYに入る前のレッスンでは、アイドルを目指して無我夢中でやってきたので、あまりロックについて考えたことはなかったかも……。
杉本莉愛:夏井さんの一生懸命なところはロックの魂の部分に繋がっていると、私は思います。
一同:パチパチパチパチ!(拍手)
夏井:ありがとうございます。一生懸命なところがロックかなと思います!
宇野みずき:私もロックの音楽にほとんど触れてこなかったので、あまり分からないんですけど、りんさんの歌には感情がこもっているのを感じるので、それを見習ってダンスにも込められたらと思って、最近は意識してやっています。
ーー昨年10月には、なぎささんが椎間板ヘルニアの手術で長期休養となっていました。
なぎさ:全然動けたもんじゃなかったです。
菜月アイル:今は笑って言えるけどね。
磯野:あの時は終わったと思ったよ。
なぎさ:いろんな治療をしてうまいこと乗りきっていたんですけど、ついにこれはもうダメだってなってしまって。早めにジャッジしないとメンバーにも迷惑かけてしまうので、手術をしたんですけど、術後は本当に病みましたね。動けないことが私にとっては苦痛で。メンタル的には復帰する気しかないのでいいんですけど、ほかのメンバーに心配させてしまったことが申し訳ない。
ーーグループを辞めるという選択肢はなかった?
なぎさ:全然ないです。「腰、いい加減にしろよ」っていうくらいに。
磯野:りんさんの身体と心が一致していなかったんです。手術の次の日には「出てくる!」みたいなことを言い出して、みんなで止めて。
ーーそのバイタリティはどこから湧いてくるんですか?
なぎさ:グループが大好きだし、自分の生きる理由がCANDY GO! GO!になっているので。
夏井:すごい……(小声で)。
なぎさ:違うの!?
杉本:夏井さん!?
夏井:も、もちろん!
なぎさ:CANDY GO!GO!が生きる場所なので。むしろCANDYの活動がないと死んじゃいます。
ーーその時期は、なぎささんなしの6人で活動をしていたわけですよね。
菜月:そうですね。CANDYは、りんさんがリードボーカルを担当している曲が多いので、この曲は誰がカバーしてっていうのを振り分けて披露する形でやっていましたね。夏井と宇野はグループに入ったばかりで初めてリードやるんじゃないかっていう状況で、これを機にそれぞれが成長できたいい時間でしたね。
永瀬りか:楽しくやらせてもらいました。ポジティブに受け止めて。メラメラしていました。
磯野:今しかできないと思って、「りんさん、もうちょっと休んでていいよ」みたいな(笑)。
なぎさ:Twitterを見ていても、みんなが楽しそうにしているのが分かるから、このままやりたいんだなって思ったんですけど、私も自分のパートには自信を持ってやっているので、戻ったらすぐに代われるように家で超鍛え上げましたね。
ーー2020年は、CANDY GO! GO!結成10周年ということで、「Infinity」はそれを記念して制作された楽曲。作詞は菜月さんが担当ですね。
菜月:10周年に入って初の楽曲なので、今まで仲間と過ごしてきた日々をリアルに描いてみたり、メンバーの入れ替わりを歌った〈カタチは違っても僕らは進んでくずっと〉など、歌詞には強い気持ちを込めてみました。
ーー書き始めた時期は?
菜月:今年の2月に「次はアイアイで行くから」と言われていて。曲調は明るいなと思ったんですけど、編曲の段階でエモさが出てきたので、だったらこの「Infinity」の歌詞がいいなと思ってグループについての歌詞を書いていきました。もともとあったのはCANDYについてのリリックではなくて。
ーーそうだったんですね。普段から歌詞は書き貯めていたりするんですか?
菜月:こういうことを書きたいなというのはフレーズとしてメモに書くようにしています。
ーー〈何度も何度もぶつかり絆生み/互いが互いの背を押し合う〉という歌詞もグループの情景が浮かびます。
菜月:今だから言えますけど、殴り合いになるくらいな喧嘩もあったし、些細な感情のズレで壁を感じた時期もあったので、そういうことを描いたりしています。今までのCANDYを知らないお客さんにも、こういうことがあって絆が生まれたということを想像できるように書いてみました。
ーーなるほど。
菜月:今回は作詞をする前からAメロの最初はアイアイ、次はりんさん……というようにパート分けが先にされていたんです。りんさんは経験を積んできた中で厳しい現実も見てきたので〈失っては希望みて毎回踏ん張ってきた〉という歌詞を歌って、杉本と永瀬は老夫婦のような同期であまり喋らなくても分かり合っていることが多いので〈言葉無くても僕らには分かるから〉。夏井と宇野に関しては、ほかに進む選択肢もあった中で、CANDYを選んでくれたので〈普通に生きることも出来たのに/あえて普通を選ばなかった僕ら〉。みきぴょんと私に関しては、〈いつか悔しさも悲しさ全部/笑い話せたらいいな〉という歌詞で。プライベートでも仲がいいので、最終的にはCANDYの話になっちゃうんですよね。終電を逃して朝まで語り明かしたっていうリアルな話とか、それぞれに歌ってほしいなという言葉を選んでいきました。
なぎさ:私もCANDYに対する歌詞は書いてきたんですけど、それはグループを去っていくメンバーに対してで、今のメンバーには書いたことがなくて。アイアイが今のメンバーをいかに信用してくれているのか、強い絆で結ばれているんだなというのがこの曲に込められている気がします。
磯野:もう辞めた方がいいんじゃないかと挫折したこともあったので、どれだけ苦しんでいても先を見据えて、いつか笑える日が来るんじゃないかと希望を歌っています。ほかのパートの歌詞でもそれぞれのメンバーに当てはまるんですよね。
「グループを続けていきたい気持ちを繋いでこれた」
ーーメンバーそれぞれにパートがあるというのは、全員がボーカルを張れるということなので、そこがCANDYの強みでもありますよね。振り付けに関してはいかがですか?
なぎさ:宇野ちゃんはもともと他のアイドルグループに所属していて、CANDYとも2マンライブやコラボCDを出していた仲なんです。その元メンバーの子が振付師として、今回、CANDYをイメージして振りをつけてくれたんです。
菜月:無限大のマークを描く振りがあったりして、ファンの方が一緒に踊れる部分もあるんです。
ーーまさに〈カタチは違っても僕らは進んでくずっと〉ですね。シングルの2曲目「漆黒のCANDYSM」はどういった楽曲になりましたか?
永瀬:私がリードボーカルを担当しているんですけど、タイトルの通りにCANDYの主張が込められている歌詞になっています。いろんな困難があったけど、これからもどんどん乗り越えていくから、ファンのみんなは安心して私たちについてきてねっていうメッセージが込められた曲ですね。
ーー永瀬さんにとって“CANDYSM”とは?
永瀬:グループの形は変わっても10年続いてきたっていうのは、つらいことがあっても、グループを続けていきたいっていう気持ちでこれまで繋いでこれた。そのロック魂だと思います。
ーー今年は結成10周年記念公演を渋谷の各所で開催する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で中止、延期になってしまっています。
なぎさ:そうですね。なので、私たちは今の時期だからこそできることをやっています。「オーダーセレクトライブ」という新たな試みで、お客さんに5曲好きな楽曲を選んでもらって、ボーカルを歌ってほしい子にしたりして、プロデューサーになれるんです。そのライブ映像の収録をほぼ毎日30曲以上撮っています。
ーー毎日30曲……。
磯野:毎日、ワンマンプラスアルファくらいで収録しています。歌詞も振り付けもポジションも変わってくるので、毎日覚えながら頭も身体も目一杯使っています。
ーーどのくらいの期間やられているんですか?
磯野:4月いっぱいで応募終了して、5月中旬くらいから。
なぎさ:ちょうど1カ月くらい。
磯野:やっと半分くらい撮り終えました。お客さん一人に対して、一つずつオリジナルのライブ映像を作るので。
ーー前回インタビューした際、月に30本以上ライブをしていると聞いて驚いたのですが、今はそれ以上ということですよね。
磯野:曲数で言ったら、今の方が大変です。
菜月:オフの日は基本練習なので、今日もこの後練習があったりして。
ーーこの期間で改めてファンの存在を再認識しているのではないですか?
菜月:存在は大きいですね! 会えないだけで心がシュンとします。今まで当たり前のよう会えると思っていたので。かけがえのない人たちだったんだなって、改めて実感できる時間です。
杉本:もしかしたらこの期間でグループから離れてしまうかもしれないという気持ちにもなってしまって。そんな中でも信じ続けることしかないし、信じてほしいと思うしかない。オンライントークもやったりしているんですけど「また一緒に現場でライブを楽しみたいね」っていう話題になるんです。まだ完全なライブの再開は難しいですけど、前と同じ環境で楽しめるように、今が踏ん張りどきだなと思っています。
ーー新型コロナウイルスの影響で、5月末に閉店してしまった渋谷のライブハウスもあります。
菜月:今までワンマンをやってきた会場で改めてワンマンをやるという10周年企画だったので、そういった場所がなくなってしまうのはつらいですね。Gladさんは次にワンマンをやる場所でした。もともと私がCANDYに入る前のユニットで、CANDYのゲストとして出たのがGladだったんですよ。そういうのを建物を見る度に思い出しますから、なくなってしまうのがまだ受け止めきれないです。
ーーファイナルはリキッドルームでのワンマンライブでした。
なぎさ:延期になってしまいました。私たち自身もやりたい気持ちはあるんですけど、モヤモヤした気持ちでやっていいのかなって。もし、私たちのライブでクラスターが発生してしまったら、幸せな思い出にはならないので判断が厳しいです。
磯野:状況を見ながらにはなりますけど、絶対にいつかは開催します。
なぎさ:まぁ、55周年までやるので。「10周年はコロナだったよね」っていう感じで思い出話として、20周年で言えればいいかなと前向きに捉えます。
ーー今はゴールへの助走期間であると。
なぎさ:スキルは今の期間で、勝手にアップしていますよね。次、お客さんに再会した時に、「こんなすごかったっけ」って思わせてこそ、この10周年の力を発揮できると思うので、お客さんの期待をいい意味で裏切られたらいいです。
磯野:充電しつつ、今しかできないことを。
菜月:ただ休んでるだけじゃないぞって感じですね。
(渡辺彰浩)