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古川日出男の新作戯曲「ローマ帝国の三島由紀夫」、新潮10月号に一挙掲載

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「新潮」2018年10月号(新潮社)

古川日出男の新作戯曲「ローマ帝国の三島由紀夫」が、本日9月7日発売の「新潮」2018年10月号(新潮社)に一挙掲載される。

本作は古川にとって、2014年に蜷川幸雄に書き下ろした「冬眠する熊に添い寝してごらん」以来、約4年ぶりとなる戯曲。現代のイタリア・ローマの地底を舞台に、ユキコとサンボンギ、鶏を名乗るマサハル、ヤマノウエ夫妻、そして亡霊のオノという6人を描く1幕劇だ。劇中ではオスカー・ワイルド「サロメ」の世界と三島由紀夫の世界が交錯していく。

小説家でありながら、前作「冬眠する熊~」が第59回岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされた古川。新作「ローマ帝国の三島由紀夫」の発表に際し、「私が劇作家であるのかどうか、誰(あるいはどのような社会。劇壇?)が定めるのかはしらないが、こうして『普通に上演できる戯曲』を、わずか『六人の登場人物のみからなる世界』を貫徹させて完結させ、文芸誌に載せられるのだから、やはり今度の古川日出男は劇作家なのだと思う」と自己を分析し、「私は、活字でこの戯曲を読むことで、あらゆる読者が《脳内上演》できることに全力を注いだ。是非やってほしい。この《脳内上演》を。幕を上げ、下ろしてほしい。頼んます」と読者にメッセージを送っている。

なお古川の期間限定公式サイトでは、毎週金曜に古川が近況を伝える“お便り”を更新中。8月31日のエントリーでは、本作の掲載に至るまでの思いが語られている。

古川日出男コメント

小説家となって初の本格的な戯曲「冬眠する熊に添い寝してごらん」を2014年に発表した時は、これは蜷川幸雄さんからのご依頼があってのもので、蜷川さんに演出されるステージの「台本」という意識が強かった。そのため、徹頭徹尾、「俺は小説家だ。俺は小説家として、この戯曲をものにするのだ。そして、この演出界の巨人に、踏み台にする《台》(=台本)と思って用いてもらうのだ」と考えていた。今回は違う。この「ローマ帝国の三島由紀夫」は、私は劇作家として書いた。私が劇作家であるのかどうか、誰(あるいはどのような社会。劇壇?)が定めるのかはしらないが、こうして「普通に上演できる戯曲」を、わずか「六人の登場人物のみからなる世界」を貫徹させて完結させ、文芸誌に載せられるのだから、やはり今度の古川日出男は劇作家なのだと思う。ちなみに、これは今後の公演が決まっていて書いた、といった類のホンではない。私は、活字でこの戯曲を読むことで、あらゆる読者が《脳内上演》できることに全力を注いだ。是非やってほしい。この《脳内上演》を。幕を上げ、下ろしてほしい。頼んます。