ビッケブランカが数々のタイアップソングに求められる理由 『竜の道』『ブラクロ』『けもなれ』楽曲に貫かれる職人的ポップネス
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玉木宏主演、双子の兄弟役を高橋一生が演じるサスペンスドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』(フジテレビ系)のオープニング曲に起用されたビッケブランカの新曲「ミラージュ」が話題になっている。「ミラージュ」はミドルテンポで少し怪しげな雰囲気を感じさせる楽曲だが、じんわりと胸に沁みるようなサウンドとメロディがドラマのシリアスな展開とも相性がよい。少しずつ音数が増えていき壮大な曲へと変化する展開は、聴き手を楽曲の世界観に自然と引き込む求心力がある。Bメロで〈何が悪いんだって言うんだ 君が悪いんだって言うんだ 気味が悪いんだって〉と同じ言葉を繰り返したり韻を踏む言葉を繰り返すことで、サビと同じぐらいに印象に残る構成で、そのままサビに流れ込む展開も個性的である。
ビッケブランカの楽曲はキャッチーで印象に残る楽曲ばかりなのに、次の展開が読めない複雑なメロディや編曲であることが特徴に感じる。それは「ミラージュ」も同様である。複雑な上に音域が広い楽曲が多いが、裏声を駆使して様々な歌唱法でしっかり表現できていることにソングライターとしてだけでなくシンガーとしての凄みも感じる。作り込まれたハイクオリティの楽曲と、高い歌唱力に唸ってしまう。
ビッケブランカは、ドラマやアニメのタイアップソングを求められることも多いアーティストでもある。テレビドラマ『ピーナッツバターサンドウィッチ』のオープニング主題歌である「Shekebon!」は、メロディへの歌詞の乗せ方が綺麗で聴いていて気持ち良い。跳ねるようなピアノの演奏とドラムのリズムも魅力的だ。ラブコメディな内容のドラマとも相性がよく、物語を音楽でより明るく楽しく彩っている。この曲も先の読めないメロディの運び方をしていると言えるが、斬新でマニアックになりがちな音楽もキャッチーな音楽に変換することで、違和感なくJ-POPへと昇華してしまうことがビッケブランカの強みだ。
そして2クールに渡ってオープニング曲に抜擢されたテレビアニメ『ブラッククローバー』「Black Catcher」「Black Rover」も作品との相性がバツグンだった。日本だけでなく世界的にも人気なアニメだけあって海外のアニメファンにも広く知れ渡っており、「Black Catcher」はSpotifyで1,500万回以上、「Black Rover」は3,000万回以上も再生されている。アニメタイアップをきっかけに、ビッケブランカの音楽を好きになったファンが世界中にいることを証明している。
他にも複数のアニメ主題歌を担当しているが、ジャンルはバラバラ。しかし作品のイメージに合致するように様々なタイプの楽曲を提供している。オムニバスアニメ映画『詩季織々』の主題歌「WALK」も、作品の余韻を色濃く残して感動を誘う楽曲である。「衣食住」をテーマにした素朴で優しい物語の映画。それに寄り添うような優しい楽曲を、優しい歌声でビッケブランカが届ける。映画内の美しい映像と同様に、美しいサビのメロディとピアノの音色に感動してしまう。感動的な楽曲にするための工夫がなされている楽曲だ。静かな演奏から始まるAメロで少しずつリスナーを惹きつけ、Bメロではピアノと歌だけになり、サビでストリングスが重なり壮大な演奏で一気に盛り上げる。細かい部分まで計算されていて、どのようにすればポップスとして印象的な楽曲になるのか徹底的に考えられているのだ。
しかし、あえてシンプルな曲展開や編曲で聴かせる楽曲も存在する。テレビドラマ『獣になれない私たち』の挿入歌「まっしろ」だ。シンプルな編曲で素朴な楽曲。しかし音色もメロディも歌声も美しい。シンプルだからこそ美しい部分がダイレクトに胸に響く。『けもなれ』は人生に不満があるわけではないが、思い通りにならないことが多くてモヤモヤしている登場人物のラブストーリーが描かれる。そんな物語に「まっしろ」が挿入歌として優しく寄り添うように流れる。ビッケブランカのイメージのひとつである複雑な展開で斬新な凝った楽曲とは打って変わる、このシンプルでありながらも彼にとって新しいアプローチはメロディーメーカー/シンガーとしての奥深さを覗かせた。
ビッケブランカは、タイアップソングについて以下のように話す。
「めちゃくちゃ寄り添うようにしてます。その作品のためを思って100%作ります。歌詞に関しても、作品の主人公の気持ちになって作るから、本来の自分が思ってることとは違うことを歌っているとは思います。でも、結局曲を作っているのは僕。そこに絶対“らしさ”が滲み出るはずなんです。それこそが自分らしさだと思うんですよね」
アーティスティックな感性と職人気質な思考で、ヒューマンドラマ、サスペンス、恋愛、バトルアクションと多種多様の物語を彩ってきた。しかし、そういったタイアップ曲だけが優れているわけではない。アルバム曲やカップリングからは、彼が音楽に向ける好奇心や探究心を体感できる。彼に作れない音楽はないのでは、と思えるほどだ。基本的には上質なJ-POPを作るアーティストではあるが「Your Days」「Smash(Right This Way)」、最新アルバム『Devil』に収録されている「Save This Love」などでは全英語詞を歌い、「Ca Va?」ではフランス語、英語、日本語を混ぜ合わせた意欲的なアプローチを披露。Spotify TVCMソングに抜擢され、フェスを沸かせる自身の代表曲になるなど、海外のヒットソングと比べても遜色のないクールな楽曲にも挑戦している。
しかし、それでも一貫しているのは常にポップスであること。様々なジャンルを自由自在に行き来し、コアリスナーにも、ライトリスナーにも届く音楽を生み出しているビッケブランカ。そんな様々な作品から求められる“彼らしさ”の最新形と言える「ミラージュ」にぜひ耳を傾けてもらいたい。
■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
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■リリース情報
『ミラージュ』
2020年8月19日(水)
価格:¥1,200(tax out)
予約リンクはこちら
初回封入応募特典:豪華特典応募シリアルコード
応募特典内容:
A賞:オンラインMeet & Greet 30名様
※ビッケブランカと1対1のオンライントーク(個別テレビ電話トーク)
B賞:サイン入りグッズ 10名様
応募期間:2020年8月18日(火)12:00~9月1日(火)23:59迄
– 収録内容 –
M1.ミラージュ
M2.Shekebon!
M3.ウララ(Special Live for Releasing “Devil” at Landmark Studio 2020.03.07)
M4.ミラージュ -Instrumental-
M5.Shekebon! -Instrumental-
■番組情報
『竜の道 二つの顔の復讐者』
放送:2020年7月28日(火)スタート
毎週火曜夜9時(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)※初回2時間SP
原作:白川道『竜の道』(幻冬舎文庫)
出演:玉木 宏 高橋一生 松本穂香 細田善彦 奈緒 今野浩喜 渡辺邦斗・西郷輝彦(特別出演)・松本まりか 斉藤由貴 遠藤憲一 他
■関連リンク
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