相次ぐホラー映画流行の波に乗るか 『事故物件 恐い間取り』はホラー初心者にもうってつけ
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リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、家の風呂の電気が点かなくなった島田が『事故物件 恐い間取り』をプッシュします。
『事故物件 恐い間取り』
8月も終わりに差しかかった現在も、猛暑が続く今日この頃。そうなったらやっぱりホラー映画で納涼です。その意味で今週オススメしたいのは、『事故物件 恐い間取り』。
Jホラーのパイオニアとも言える中田秀夫監督の最新作となる本作。近年の中田監督作といえば、『スマホを落としただけなのに』シリーズや秋元康が企画・原案を務めた『リモートで殺される』(日本テレビ系)など新たなデバイスを積極的に取り込んだホラー作品を次々と送り出しています。ホラーというジャンルに止まらないエンターテインメント性も意識した作りも特徴的だと言え、ある意味「ホラー映画の入り口」とも言える存在なのではないでしょうか。
そんな中田監督が今回取り上げたのは、松原タニシによるノンフィクション小説。物語は、松原の実話をベースに、売れない芸人・山野ヤマメが先輩から「テレビに出してやるから事故物件に住んでみろ」と無茶ぶりされ、殺人事件が起きた事故物件に住むところから始まり、山野とその周囲の人物があらゆる恐怖に巻き込まれる……というのが本作の大まかなあらすじです。
主演を務めるのは、亀梨和也。普段の華やかなテレビでの姿を忘れてしまうくらいの自然な、関西のお笑い芸人の演技に驚きます。インタビューでは、役作りとして関西出身の芸人の友達に手伝ってもらったり、中田監督と密にコミュニケーションをとったとのことで、そうした工夫が見事に結実しているのではないでしょうか(参照:亀梨和也が語る、“不安”との向き合い方 「周りの方を信じられるからこそ、色んなことに挑戦できる」)。
近年、ホラー映画は流行の一途を辿っています。海外作品でも『ミッドサマー』や『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』がヒットを記録し、国内作品でも『犬鳴村』や前述の『スマホを落としただけなのに』、Netflix『呪怨:呪いの家』も大きな話題を呼びました。映画に限らずゲーム業界でもFPS視点のインディーズホラーゲームが海外を中心に流行しています。デバイスとも密接な繋がりがあるホラー。技術の進歩とともによりホラー映画の可能性も広がっていっているのかもしれません。
一口にホラーと言っても、その作品カラーは様々。『事故物件 恐い間取り』に関していうと、お笑い・テレビ業界の場面はどこかポップかつユーモラスでもあり、一方事故物件内のシーンでは、中田監督ならではのジャンプスケアを存分に味わえます(ジャンプスケアではないですが、個人的にはホラー作品鑑賞のきっかけにもなった中田監督作『仄暗い水の底から』を想起させる場面もあり、テンションが上がりました)。
ずっと暗いテンションが相次ぐのではなく、コメディとホラーの緩急を存分に活かした作風が特徴的です。なので、ホラー映画初心者の方も入り口として入りやすい作品と言えます。ぜひ、8月の終わりに映画館で涼しくなってみてはいかがでしょうか。
■公開情報
『事故物件 恐い間取り』
全国公開中
出演:亀梨和也、奈緒、瀬戸康史、江口のりこ、木下ほうか、MEGUMI、真魚、瀧川英次、加藤諒、坂口涼太郎、中田クルミ、団長安田、クロちゃん、バービー、宇野
祥平、高田純次、小手伸也、有野晋哉、濱口優
原作:松原タニシ『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房刊)
監督:中田秀夫
脚本:ブラジリィー・アン・山田
音楽:fox capture plan
企画・配給:松竹
制作プロダクション:松竹撮影所
(c) 2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
公式サイト:movies.shochiku.co.jp/jikobukken-movie
公式Twitter:@jikobukken2020