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山田裕貴がアニメ声優初挑戦 「大人が観ても心を動かされる映画」

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山田裕貴

国民的人気アニメシリーズ『クレヨンしんちゃん』の、劇場版第28弾『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』で、俳優の山田裕貴は防衛大臣役を演じる。

自由な落書きをエネルギーにして浮かぶ国、ラクガキングダムは、地上の落書きが減ったことで墜落の危機に瀕している。そこで王国軍と防衛大臣は、強制的に人々に落書きをさせる「ウキウキカキカキ作戦」を決行。しんのすけたちの住んでいる春日部も、大パニックになってしまう。平和をとりもどすために、ミラクルクレヨンを手にしたしんのすけは、自ら描いた落書きの仲間たちとともに、勇者として立ち向かうのだが……。

山田裕貴は本作がアニメ声優初挑戦。今年で30歳になる彼は、『しんちゃん』とともに育ってきた世代であり、その分プレッシャーも大きかったという。

「これまでアフレコというと、戦隊(2011年放送『海賊戦隊ゴーカイジャー』、ゴーカイブルー/ジョー・ギブケン役)の変身後の声を当てた経験くらいしかないんですよね。もちろん、小さい頃からアニメは大好きだし、声優さんに対してもすごく尊敬の念があります。だからこそ、アニメのキャラクターを演じることの難しさを感じました。声優さんの演技と、僕のやっていることの違いというか、短期間で追いつける領域ではないんですよね。よく『声がいい』と褒められることもあるんですが、“声がいい”から“声の演技ができる”わけではないんですよね。そこを改めて感じました」

昨年はNHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』や、映画『HiGH&LOW THE WORST』、舞台『終わりのない』今年は主演ドラマ「SEDAI WARS」「ホームルーム」、映画『燃えよ剣』や『ヒノマルソウル』の公開も控えており、実写作品では多岐にわたる活躍を見せる彼だが、「ここ最近で一番大変だった役」だったと語る。

「キャラクターがいるのはどんな空間なのか? あるいは相手とはどのくらいの距離があるのか? それを想像して抑揚や緩急をつけた声色で表現しようとする。でも、それを自分の中で意識しすぎると、今度は気持ちが乗っていない、心の削がれたものになってしまう。戦隊時代からそこにジレンマはありました。ゴーカイブルーはクールな中に熱いものを秘めている役だったので、大好きな『機動戦士ガンダム00』の宮野真守さん演じる刹那の演技を参考にしていたこともありました。とはいえ、“今回も誰々っぽくやろう”とは思っていないですけど」

『映画クレヨンしんちゃん』に出てくる悪役は、複雑な想いや事情を抱えていることが多く、本作の防衛大臣も愛国心ゆえに、国王に反旗を翻してしまうところがポイントだ。

「役そのものに対しての向き合い方は、普段と変わらないんですけど、声だけでどう演技すればいいのかはすごく悩みました。彼の焦りだったり、それでも国を愛しているという想いだったり、その上で『悪役っぽさ』も必要になってくるので、それを声だけで表現することに難しさがありましたね」

なお、印象に残っている劇場版は、『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(2002年公開)だという山田。戦国時代にタイムスリップした野原一家と、ひとりの侍との交流を描く作品で、09年には『BALLAD 名もなき恋のうた』として実写映画にもなっている。

「井尻又兵衛由俊(『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』に出てくる侍)が銃に撃たれるシーンは今でも鮮明に覚えています。しんちゃんのあんな悲しい表情は、これまで観たことなかったし、僕の中で衝撃的だったというか、心に残っている作品です」

彼いわく、本作も歴代の名作と並ぶ完成度とのこと。

「僕も普通にお客さんとして見たかったです。完成品を観たときに、僕は自分の声の事ばかり気にしてしまうかもしれないですから(笑)。大人が見ても心を動かされるというか、子どもにそれを言わせるなよ! っていうシーンもあったり、人のせいにする大人たち、SNSでの無責任な書き込みだったりを彷彿とさせる描写も出てきます。アニメだから、『しんちゃん』だからこそ表現できる世界ですよね。感動したり考えさせられることもあれば、ブリーフやうんちが動き出すシーンもあるし、笑いと涙のバランスがすごくいい んですよ。さすが『しんちゃん』ですよね」

『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』は9月11日に全国公開。

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(撮影/奥田耕平、取材・文/藤谷千明)

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