Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 実在の女性の激動の物語を映画化『ソニア ナチスの女スパイ』 主演イングリッド・ボルゾ・ベルダルが語る

実在の女性の激動の物語を映画化『ソニア ナチスの女スパイ』 主演イングリッド・ボルゾ・ベルダルが語る

映画

ニュース

ぴあ

『ソニア ナチスの女スパイ』 (c)2019, The Spy AS BR•F, Film i Väst, Scope Pictures, Nordisk Film Danmark - All rights reserved

『ソニア ナチスの女スパイ』が、9月11日(金)より公開される。この度、実在の女優ソニア・ヴィーゲット役を演じるイングリッド・ボルゾ・ベルダルのインタビューが公開された。

『ソニア ナチスの女スパイ』は、第二次世界大戦中のナチス占領下のノルウェーで女優として活躍し、スウェーデンの諜報部からスパイとしてナチスに潜入することを要請された、実在の人物ソニア・ヴィーゲットの真実の物語。

ドウェイン・ジョンソン主演の『ヘラクレス』や、海外ドラマ『ウエストワールド』などに出演し、国際的に活躍するベルダルがソニア・ヴィーゲットを熱演。ロルフ・ラスゴード、アレクサンダー・シェーア、ダミアン・シャペルなど、ハリウッドで活躍するキャストが脇を固める。

監督は、長編『The King of Ping Pong(英題)』でサンダンス映画祭グランプリを受賞したイェンス・ヨンソン。脚本は『ヒトラーに屈しなかった国王』でノルウェー・アカデミー賞(アマンダ賞)の脚本賞を受賞したハラール・ローセンローヴ=エーグとヤン・トリグヴェ・レイネランドが務める。

ノルウェー出身のベルダルは、母国ノルウェーに実在した女優であり、スパイでもあったソニアとどう向き合い、どう演じ切ったのか。先日実施されたZoomインタビューで、ベルダルが語った。

Q:ソニア・ヴィーゲットのことは知っていたか。

A:実は知りませんでした。今回、ソニアや歴史について学ぶ中で、なぜ自分が彼女のことを知らなかったのか不思議に思いました。彼女が女性だったからなのか、それとも彼女がレジスタンスという国から賞賛されないことをしていたからなのか。ソニアについては驚くべきことがふたつあります。ひとつは1930年代後半〜40年代初頭、ノルウェーやスウェーデンだけでなく、北欧諸国で有名な映画の大スターだったことです。その事実は私たちの世代には忘れ去られてしまっていますが。もう1つはスウェーデンの諜報機関のためにスパイ活動をしていたことです。ですので、この稀有な女性の数奇な物語を伝えられることに非常に意義を感じています。

Q:ソニア・ヴィーゲットは母国ノルウェーの映画界ではどんな存在か。

A:彼女はノルウェーの映画や演劇に興味がある人にはよく知られていました。私の周りにも彼女を知っている人がおり、彼女について教えてもらうことができました。しかし、一般的にはあまり知られておらず、彼女の名前を聞いたこともない人も多かった。映画や演劇の世界ではよく知られているのに、一般的にはあまり知られていないことは興味深いと思いました。今ではこの映画が公開されたことで彼女はよく知られるようになりました。彼女が一般的にあまり知られていなかった理由はいくつかあると思いますが、ひとつは彼女自身が自分がやっていたことについて語ろうとしなかったからではないでしょうか。また、メディアが彼女について報道をしなかったことも理由のひとつです。ドイツのスパイをしていたというイメージが彼女にはつきまとっていたため、それを拭うことは難しかったんだと思います。

Q:2005年に関連文書が公開されたとき、ノルウェーではどんな反応が?

A:私が覚えている限りでは特に話題にはなっていませんでした。もちろん、時代や歴史に関心がある人にとっては興味深かったでしょうし、注目も集めたようです。ですが、ソニアのように人々から忘れ去られたものの、人々のために活躍した女性はたくさんいるはずです。

Q:ソニア・ヴィーゲットの出演作は? それ以外にも事前にリサーチしたことがあれば教えてください。

A:ノルウェーの図書館やスウェーデンの図書館などに彼女が出演している作品が保存されており、それらを取り寄せて彼女の演技や話し方について勉強をしました。日本でもそうかもしれませんが、時代が違うと話し方も違います。現代は映画でもテレビでもリアルな演技を要求されることが多いと思いますが、当時はもっと違う形の演技が求められていたように思います。それをどれくらい取り入れるかのさじ加減を考えました。やり過ぎてしまうと現代の観客には受け入れられないと思いましたので。また、ソニアは話し方にも特徴的な訛りがあり、それをどのように表現をするのかも考えました。彼女の訛りと自分の訛りが同じノルウェーの北部から中部にかけてのものだったので、違和感なく再現できたと思っています。

ソニア・ヴィーゲット

Q:役作りにおいて苦労した点は?

A:ソニア・ヴィーゲットという人物について知れば知るほど、彼女は複雑な人物だったことが分かります。彼女は常に仮面を被って生活をしていました。完璧なヘアスタイル、素晴らしいガウンに身を包み、当時の女性には珍しく野心を持って女優業に勤しんでいました。同時に彼女は傷つきやすく、繊細でもありました。それこそが女優として偉業を成し遂げる素質であったとも言えますが。この作品のジャンルはスリラーになりますが、スリラーというジャンルにおいて、主人公が常に仮面を被っているということは、演じる上で難しかったです。つまり、彼女が本当に感じていることをどれくらい見せるのか、そこがすごく難しかったと思います。ただ仮面を被っていたわけではなく、それがズレないように外れないように彼女は葛藤して戦っていたわけで、独特な話し方や独特の行動の仕方といったものの上にリアルな女性としての、リアルな人間としてのソニアというのをどう表現するのかというのが一番の挑戦だったんです。

Q:ソニア・ヴィーゲットに降り掛かった境遇や葛藤について共感する部分は?

A:はい、もちろん共感しました。それと同時に彼女の置かれた状況を実際に起こったこととして実感するのは難しかった。今日、ノルウェーは平和な国です。人々は政府を信頼し、安心して暮らしています。ですので、その信頼と自由が奪われ、勇気のいる仕事を強いられる状況に自分が置かれるというのは想像しがたい。彼女がそういう道を選択しなければならず、怖い思いもたくさんしただろうと考えると悲しくなります。物語の冒頭では彼女は試練に挑むことを好むようなタイプの女性でしたが、後半ではいかに危険なことに携わっているかを知ります。晩年はやはりそのせいで辛い思いをしたのではないでしょうか。彼女のような特別な状況に置かれて生きている人のことを考えました。なぜそのようなことが繰り返されるのだろう、負の連鎖を止められないかと思いました。この映画が日本で公開され、日本の人々にソニアのことを知ってもらえることは非常に意義のあることだと思っています。日本とノルウェーは遠いですし、私たちは違っているように思うかもしれません。しかし、結局はそんなに違わないし、同じなのではないでしょうか。私たちは同じ地球の上に生きているのですから。

Q: キャストやスタッフについてお教えください。

A:ソニアのボスであるアクレルを演じたスウェーデンの俳優のロルフ・ラスゴードとは、以前も共演したことがあったので、今回、また共演できてよかったです。ダミアンとアレクサンダーとはたくさん思い出があります。ダミアンとのシーンはドイツ語を話さなければならないことが多かったのですが、ドイツ語を話せない私を彼は助けてくれました。アンドルを演じたダミアンも面白い役者さんで、一緒に演じられて楽しかったです。イェンス・ヨンスン監督はとても情熱的な人で、非常に熱意を持って撮影に臨んでいました。彼のチームは素晴らしいチームで、特に衣装とヘアメイクのチームには感謝でいっぱいです。

Q:コロナで日本では映画館が一時期閉館となり、映画ファンたちは大変悲しんでいました。いまでは映画館も再開し、お客さんが戻りつつありますが、ノルウェーの状況は?

A:ノルウェーでは再開している劇場もありますが、座席を空けるなどのルールが設けられています。他の業界もそうですが、映画業界も厳しい状況に置かれています。数週間前から再開している現場もありますが、非常に厳しいルールが設けられています。また、撮影を再開しても第二波がやってきたら中止せねばならず、プロデューサーは撮影を再開すべきか延期すべきか頭を悩ませています。撮影を再開したのに第二波がやってきてまた中断するということは避けたいと考えますから。この状況下でどのような判断をするのが正しいかは分かりません。たしかに、コロナは気をつけなければいけないですが、怖がり過ぎてイライラしたり、「近づかないで!」と怒り出したりする人もいる。そうではなく、離れていても繋がっている、心と心は繋がっているということ忘れないことが大切なのではないでしょうか。だから、こうして日本にいる皆さんとお話できることは素晴らしいことだと思います。

『ソニア ナチスの女スパイ』
9月11日(金)より新宿武蔵野館ほかロードショー

フォトギャラリー(7件)

すべて見る