『アンサング・シンデレラ』徳永えりが薬に依存する母親役で熱演 田中圭演じる瀬野はどうなる!?
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瀬野(田中圭)にガンが見つかり、余命3カ月であることが発覚する。みどり(石原さとみ)はそれを知り、瀬野に最後まで治療をしてほしいと願った。『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系、以下『アンサング・シンデレラ』)の第9話では、瀬野の病状と、オーバードーズで運ばれてきた患者・若月陽菜(徳永えり)のエピソードが描かれる。
瀬野の抱える病は遺伝性の重複がんという完治の難しいものであった。祖母と母を同じ病気で亡くした瀬野は、自身も母と同じように最期まで薬で痛みを抑えながら仕事を続けたいと考えていた。だが、みどりは瀬野に、どんなに無様でもいいから生きることにしがみついてほしいと訴える。
さらに第9話では、抗不安薬の多量摂取がやめられない陽菜を、治療に向き合わせるまでのみどりの奮闘が描かれる。毎週様々な患者と接してきたみどりであったが、陽菜は今まで以上に接するのが難しい患者であり、ドラマで描かれるシーンも衝撃的なものが多かった。陽菜が大量の薬を口に含みみどりに向かって吐き出すシーンや、他の患者の食事を投げ落として薬を奪おうとする様子など、ショッキングな姿が描き出される。
母親になると同時に夫が多忙になり、ワンオペ育児に疲れ果てた結果、育児ノイローゼで薬物依存になるという、現代の日本では目を背けられない現実によって引き起こされた陽菜の悲劇は、絵面の衝撃だけでなく多くの女性にとって“他人事”ではない深刻さを感じさせただろう。健康であった頃の娘との写真をたびたび見返す陽菜の姿に、薬物依存から抜け出すことの難しさと、その治療には家族の支えがいかに重要であるかが浮き彫りとなる。シビアな役であったが、徳永の好演で訴えかけるべきメッセージが強く伝わる放送回となった。
徳永は『放課後。』(フジテレビ系)で女優デビュー、その後『恋のツキ』(テレビ東京)で連続ドラマ初主演を飾った。最近では『フルーツ宅配便』(テレビ東京系)でのみかん役や『ギルティ〜この恋は罪ですか?〜』(読売テレビ・日本テレビ系)の秋山美和子役でも印象的な姿を見せた。前者は10歳の息子を育てるために人気No.1デリヘル嬢として奮闘するシングルマザー、後者は夫・秋山慶一(町田啓太)に向き合ってもらえないながらも結婚生活を守ろうとする健気な妻の役であり、辛さを抱えながら必死に生きる妻や母親役で演技が光る存在でもある。今回『アンサング・シンデレラ』では一生懸命陽菜と向き合おうとするみどりにハサミの刃を向けるなど、母親として子育てをしていた頃の芝居と、治療中の姿のギャップも凄まじく、圧巻の演技で多くの人にこの病の深刻な一面を伝えることに成功した。
次週は、瀬野に自身の治療と薬のことを任されたみどりがどう瀬野と向き合うのかが描かれる。「最後の課題」になるかもしれない瀬野章吾という患者にみどりはどのように折り合いをつけるのか、必見だ。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、西野七瀬、成田凌、桜井ユキ、井之脇海、金澤美穂、真矢ミキ、迫田孝也、池田鉄洋、でんでん、田中圭
原作:『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』荒井ママレ/医療原案:富野浩充(『月刊コミックゼノン』連載/コアミックス)
脚本:黒岩勉
プロデュース:野田悠介
演出:田中亮
制作・著作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/unsung/
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