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トロント映画祭:マーク・ウォルバーグの『Good Joe Bell』が世界プレミア

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『Good Joe Bell』 Courtesy of TIFF

マーク・ウォルバーグが主演とプロデューサーを兼任する『Good Joe Bell』がプレミア上映された。実際に起こった話を、『ブロークバック・マウンテン』の脚本家コンビ、ラリー・マクマートリーとダイアナ・オサナが脚色した感動作だ。

ウォルバーグが演じるジョーは、オレゴン州の小さな街に住む父親。ある日、15歳の長男ジェイデンから、自分はゲイだと打ち明けられたが、なかなか受け入れられない。そんな中でも、その事実をオープンにしているジェイデンは、学校でいじめられるようになっていった。そしてジョーは、いじめ撲滅のメッセージを伝えるため、ニューヨークまで歩いて旅することを決める。

映画は、テントで寝たり、必要品を詰めたカートを押したりしながら歩くジョーの「今」と回想シーンを交互に織り交ぜる形で展開。半分ほど経過したところで驚きの事実が明かされ、最後も予測しない形で終わる。その効果的な展開は、さすがオスカー受賞者コンビだ。監督を任されたのは、これが長編2本目となるレイナルド・マーカス・グリーン。黒人のストレート男性である自分はこの映画にふさわしいのかと最初は迷ったが、ジェイデンは誰の中にもいるのだと気づいて、ぜひやりたいと思ったのだという。彼はまた、黙っているのでなく行動を起こそうとするジョーの姿にも共感したそうだ。

最近、アクションやコメディが続いていたウォルバーグが久々に見せる感情的な演技も心に刺さる。ジェイデンを演じるレイド・ミラーも、これからの活躍を十分期待させる。

文=猿渡由紀